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野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

スリバチvs高低差

『凹凸を楽しむ 大阪「高低差」地形散歩』が出た!これはぜひ読んでみたい、と思いながら数ヶ月が経過してしまった。でこの前、日本に出張した時にやっと買ってきたわけですな。

凹凸を楽しむ 大阪「高低差」地形散歩

凹凸を楽しむ 大阪「高低差」地形散歩

世の中には地形マニア、というのがいるらしい。そんなん初めて聞いた。でも考えてみたらわたくし自身がそうなのかもしれない(わりと軽症だけど)。あてもなく地図を眺めたりするの結構好きだし、街中で坂とか崖とかあるとなんだか心が騒ぐし、『アースダイバー』はかなり楽しく読んだし、昨年は実際に東京まで行ってあちこち歩いてきたし。
で著者の新之介さん、かなりの重症で、「大阪高低差学会」なんてものを作って、さらには本まで出してしまう、という。
「はじめに」に書かれているように、『アースダイバー』にインスパイアされた部分というのが結構あるようなのだ。けれども、同じように地形に着目してそこから過去の様子に思いをいたす、というところから始まっていても、『アースダイバー』はそこからどんどん途方もない方向へぶっ飛んでしまい、ちょっともうトンデモと紙一重、なんてところまで行ってしまう。一方、本書ではあくまでダウン・トゥ・アースな感じでその土地に関する諸々についてどんどん詳細に掘り下げていくという、ある意味まったく逆の方向性を持っているようだ。いやどちらも大変に魅力的なのだけども、同じようなことをやっていてもそこから見えるパースペクティブってのはずいぶんと違ってくるものなのだなあと思う。身近にある地形の話から始まって、捕鯨やら異界やら翁やら宇宙船やらにどんどんぶっ飛んでしまう『アースダイバー』に比べれば、この本の内容はわりと土着的、と言えるかもしれない。でもその分、取り上げられている土地が自分の知っているところであれば、これはその分かなりディープに楽しめる。実際、たいていが見知った場所で、その風景も目に浮かんでなんだか嬉しくなる。
ちなみに、巻末に「特別寄稿」されている皆川典久さん。この人がまた「東京スリバチ学会」などという怪しげな(失礼)団体の会長であるらしいが、この文章というのがまた大変に魅力的で、本書に先行する『凹凸を楽しむ 東京「スリバチ」地形散歩』なる著書があるようだ。これもまた是非に読んでみなければいけませんねえ。