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野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

すでに4期でしたか

読書

『「戦後80年」はあるのか』なんて、何とも挑発的なタイトルではないですか。おなじみ「本と新聞の大学」講義録の第4弾だ。

昨年は戦後70年。とか言ってると、後で気づいてみれば実は「戦前」だったかもしれないんだぜ、と言われてみれば確かにそうですな。
まず今回は、我らが内田樹せんせが登場、というのが目玉だな。日本は第二次世界大戦の「敗戦国」なのだけど、では同じ枢軸国であったイタリアは、本当に「敗戦国」なのか?また連合国側で戦勝国ということになっているフランスはその経緯をよく見ると実は敗戦国ではないのか?とか、いきなりそんな話が始まる。ある国家の恥ずべき過去というのは、「押入れの中の死体」のようなものである。ちゃんとその存在を認めて総括できれば迷わず成仏できるが、「なかったこと」にすると、いつまでも腐臭を放ってその国を苦しめる、という。なるほど。しかしすごい喩えだ。過去の過ちを認めて、そこから学ぼうとしない歴史修正主義は、結局「押入れの中の死体」にいつまでも祟られ続けるというわけだ。
そして上野千鶴子大先生の「戦後日本の下半身 そして子どもが生まれなくなった」は、何じゃいそら、と思ったのだけどこれがなかなか鋭くて。つまり性と権力の関係だ。フーコーの『性の歴史』は過去に2回ほど挑戦した(といっても『知への意思』だけ…)ものの、その内容をビタ一文理解できずすっかり打ちのめされたわけだが、実はそんなことが書いてあったのか!と驚愕するやら感心するやら。
そして最後の河村小百合さんによる「この国の財政・経済のこれから」が、あまりにもお先真っ暗で愕然とした。
というわけで、この思わぬ方向からパンチが飛んでくる感じ、これがなんともエキサイティングで、やはりこのシリーズはいつも期待を裏切らない。今回もすっかりしてやられました。