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野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

蛇固無足。子安能為之足。

埋め草

学生のころ、神戸に住んでいた。神戸の灘といえば灘五郷などといって多くの酒蔵があることで知られている。じっさい大学の研究室に海外から来客などあった際には、それらの酒蔵を案内するのが恒例になっていた。外国人にとっては珍しいし、手近だし、何と言ってもカネがかからないし。
そんな灘の酒蔵を回ってみないかい、という「大人の遠足」のお誘いを受け、参加したのである。
前述の通り、あの界隈の酒蔵のいくつかに、何度か行ったことがあるはずなのだけども、いったいどの酒蔵に行ったのだか記憶が定かではない(たぶん白鶴あたりには行ってると思うけど)。まあ30年ほども前のことだし、その間には震災もあり、いろんなものがすっかり変わってしまっているのだ。
朝10時にJR住吉駅に集合し、六甲ライナーで魚崎まで移動。そこからだらだら歩きつつ酒蔵を回るという寸法だ。
この界隈、かすかな記憶では普通の住宅街の中に酒蔵が点在しているという感じだったのだが、最近はどうやら周辺の建物も「酒蔵風」のテイストにしているところも見受けられる。

まずは菊正宗、それから浜福鶴へと回ってみた。浜福鶴というのは初めて聞く名前であるが、ここの試飲コーナーが大盤振る舞いで、なんとも味のある爺さんが次から次へといろんな酒を飲ませてくれる。ここでちょっと古酒っぽいシェリーヴァット(名前の通りシェリー樽で熟成させた原酒だ)というのが良い感じだったので、こいつを買って帰ろうかと思ったのだが、300mlが売り切れで720mlの大きなボトルしかなく、荷物になるのも難儀だなと思って断念した。そのかわり限定生原酒の仕込七號というやつを購入した。こちらもなかなか切れ味が良く、たいへん結構なんである。
このあたりには外国人観光客も訪れるため、案内は日本語だけでなく英語や中国語、ハングルなどで併記されているところも多い。「灘の酒で乾杯!」というのにも英語が併記されているので、おおいったいこれを英語で何と書いたのだ?と思ってよく見たら、"NADA NO SAKE DE KANPAI!"って、ローマ字表記にしただけやんけ!

昼食は櫻正宗に併設のレストランにて。もちろん昼酒を嗜みながらだ。
灘五郷の酒蔵は、東は西宮鳴尾浜から西は灘の大石までの間に散在している。歩けない距離ではないが、ぶらぶらと歩くことそのものを楽しみたいのでなければ、バスに乗るのが便利だ。このあたりの酒蔵をぐるっとまわるバスが250円で1日乗り放題だ。というわけで昼食後はバスに乗って神戸酒心館へ。福寿の蔵元なのですな。ここではあわ咲きというスパークリング酒を購入した。これが甘すぎずさっぱりしてまことに結構なのである。
そしてここから歩いて甲南漬本舗へ。昔わたくしが住んでいたあたりの至近にある。この甲南漬は当時からあったが、6年間住んでいながら一度も足を運んだことがない。おそらく甲南漬を食べたのも初めてだろう。これがまたなかなか美味であったので、きゅうり、守口大根、小茄子、スイカ、等のアソートを購入した。
そしてまたバスに乗ってJR六甲道を経由し、阪急御影へ。とりあえずこれにて散会、となった。気づけばもう16時を回っているのだ。何てこった。
夕食は鍋だったので、早速あわ咲きを飲んでみた。うむ、美味いぞ玉緒さん。ついでに甲南漬けもぼりぼりと。いやーこれはたまらん。
ちなみに、神戸酒心館では福寿純米吟醸酒粕パウダーを使用したという「酒粕バウムクーヘン」というのも購入していたのでこちらも食べてみた。なるほど、蛇足というのはまさにこういうことであるなあ、と痛感した次第である。
まことに充実した秋の1日でございました。