野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

問題は練り物ではない、牛すじなのだ 21世紀の新・おでん論

日曜日に平日の食事の作り置きをするのも、なんだか飽きてきたというかやる気がなくなってきたというか。とはいうものの食べるものがないのは困る。だから面倒だけども何か作らねばならない。できれば手のかからないものが良いなあ、と考えると、少しばかり寒くなってきたところでもあるし、ここはやはりおでんですね、ということになる。よかろう、おでんは大好きだ。3日や4日続いてもまったく問題ない。問題なのは、材料を揃えられるか、ということだ。
そもそもおでんとは何か、という問いがここで立ち上がる。つまり、おでんの具として外せないのは何か、ということだ。日本で普通に売られている食材が、当地においても入手可能であるとは限らない。わたくしの場合、まずもって大根および牛すじ、である。そしてこんにゃく、厚揚げが続く。さらにゴボ天、タコ、卵、手羽元などがあると好ましい。いや、ここで白状すると、本当は大根と牛すじさえあれば良いと思っている。しかしそう言ってしまうと、それは単に牛すじと大根の煮込みであっておでんではないのでは?と追及された場合の反論をわたくしは未だ持ち合わせていない。したがって、「おでんに外せない具は何ですか?」などと問われた際には、「大根、牛すじ、こんにゃく」などと答えて世間体を取り繕っているのである。
さて上記のような食材を調達するにあたって、大根に関してはその品質以外に大きな障害はない。問題は牛すじだ。実は今まで当地で「牛すじ」というものを真剣に探索したことはない。英語で何と言うのだ、とまずそこから調べてみた。どうやらbeef tendonとかbeef sniewなどと言うらしい。なるほど。もちろんそんなものQFCあたりではついぞ見かけたことがない。頼みの綱である宇和島屋へ行ってみても、見当たらない。豚の頭とか鶏の足とか、そういったエキゾチックなものはあるのだけど。であれこれ探すと、beef shankというのがある。どうやらスネ肉のことらしい。うむ、そのものずばりではないが脚の一部ではあるしもっとも近い部位であろう、ということでこいつを使うことにした。というわけで本日のおでん具材はこんな感じ(+卵)で。

おでんの具は、ついついあれもこれも、と入れてしまい法外なボリュームに膨れ上がり収拾がつかなくなるものであるから注意しなければならない。本当はここにがんもどきと巾着も入れたいところだが涙を飲んで見送った(というか単に入手できなかっただけの話だが)。ストイックに厳選された具で作られたおでんはこんな感じだ。

ちなみに、beef shankの量は他の具材とのバランスを考えると明らかに多い。こりゃどうしたもんか、ということで1/4ほどを取り分け、こちらはどてやきにしてみた。こんにゃくと共に数時間しつこく煮込んでいるうちに実に良い感じに仕上がった。

よかった、beef shankでどうやら大外しはしていなかったようだ。ここはやはり焼酎だろう。茨木の名店かどや酒店で買って当地へ持ち込んだ、青鹿毛のお湯割だ。うむ、まことに結構。しゃーわせである。
というわけで今週はおでんウィーク。和がらしを入手すべきかどうか、というのが目下の懸案事項である。