いったいどういう意味なんだろうな、と書店等で『64』を見かける時にいつも思い、長らく気になっていたのだ。
- 作者: 横山秀夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/04/01
- メディア: Kindle版
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主人公の三上は、警察の広報官だ。それも、もともと刑事だったのが不本意ながら広報官をやっているという設定。なんだか、半年ほど前に読んだ『空飛ぶ広報室』みたいじゃないか。しかしこの『64』は、あの本とはあまりにテイストが違う。とにかく重厚だ。派手な事件が起こるわけでもなく、ただひたすら延々と三上の屈託と、警察の人事がらみで蠢く人々の暗躍が綴られていく。警察というのは、組織防衛のためにどれほどクソのようなことをやるのか、という話でもある。ああ何て辛気臭い、と思いながら、でもなかなかやめられないのだこれが。なんだか同じところをぐるぐると回っているなあ、と半分うんざりしながら読み進めていくと、残り1/4ぐらいのところでいきなり物語にドライブがかかり始め、仕込んでおいた伏線があちこちで発火する。それまで何日もかけて読んできて、今夜は早く寝よう、と思っていた夜に結局最後まで一気に読んでしまった。参った。ちょっと今まで読んだことのない感じの警察小説だった。なんだかぐったりだ。息苦しくて肩が凝る。でも面白かった。どこまでも辛気臭くてくどい話だけども。