野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

アメリカ国民以外の誰もが振り回された。きれいな言葉で言えばね。

アメリカ大統領選挙の期間中にドナルド・トランプが集会でローリング・ストーンズの曲を流すのに対して、ストーンズ側は彼らの曲を使用しないように要求したそうだ。トランプはそれを一蹴し、相変わらず彼らの曲を使い続けた。そして、当選が決まった後の勝利演説で流した曲が"You can't always get what you want"だっていうんだから悪い冗談にしか思えない。でこの曲の邦題がまた『無情の世界』だったりするから余計にげんなりする。
大統領選の結果についてのストーンズのメンバーのコメントも様々だが、個人的にはやはりキースの「俺にとっては空白の時間さ」というのが気に入っている。
http://rollingstonejapan.com/articles/detail/27071
トランプが使った曲は他にも"Start me up" がある。名曲だ。そういえばMicrosoftWindows 95をリリースしたときのCMの曲もこれだったな。この曲が入っているアルバムが"Tattoo You"、邦題は『刺青の男』。

Tattoo You (Reis)

Tattoo You (Reis)

1981年リリース、わたくしが中学生のころだ。それまでローリングストーンズなんて知らなかったし、そもそもこういう泥臭いロックンロールには興味がなかったのだけども、あのジャケットはインパクトがあり、けっこう記憶に残っている。でも実際に中身を聴いたのはもっと後で、大学生になり、ストーンズその他にのめり込み始めて以降のことだ。それからストーンズのCDをあれこれ買い集めていたけれどもなぜかこのアルバムは持っておらず、たぶんレンタルCDをカセットにコピーして聴いていたと思う。だからこのアルバムは最近まったく聴いていなかったわけだ。
で、ベルビューのCDショップにふらりと立ち寄ったら中古盤が5ドルほどで売られているので買ってきた。
このアルバムはやはり最初の"Start me up"と最後の"Waiting on a friend"が名曲なわけだが、それ以外にも"Slave"のルーズなリフ(こいうのはキースの真骨頂って感じしますねえ)とか"Black limousine"のまさにドス黒い感じとかがなかなか魅力的で、全体になんとも言えない雰囲気のアルバムだ。書き下ろしは2曲だけで、後は全部過去のアルバムのアウトテイクの寄せ集めだとはとても思えない。
でも考えてみたらこれがストーンズの最後の「名盤」じゃないかな。そりゃ"Undercover"や"Dirty Work"も良いんだけどさ。なんとなく、ねえ。
などと言いながらも12月に出る新譜はけっこう楽しみにしていたりする。