野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

どてやき本日で終了です

日曜日に作ったコンフィをちょっと試食してみた。

うむ。美味いなこれは。

ところで、『小説家という職業』が文庫化されましたな。

職業としての小説家 (新潮文庫)

職業としての小説家 (新潮文庫)

小説家とはいかなるものか。村上春樹はどのような経緯で小説家になったのか。オリジナリティについて。翻訳について。創作活動と身体性。等、実はエッセイやインタビューで断片的に語られていた内容がほとんどである。が、それをこういった形でまとめられると、実にこう、どすん、とものすごい迫力でもってせまってくるのだな。
表現者としての思想、みたいなところから小説のわりと具体的な技法にかかわる内容まで、そのカバレージはまことに広い。で、村上作品についての解説というのそれはもういろんな人がやっているわけだけれども、特に技法という面で、本人が語るというのはこれはなかなか貴重なんではないかと。たとえば物語の人称について。初期の作品で採用されていた一人称は、認知できる世界に限界があるため物語の制約になってしまう。だからある時期から三人称を取り入れた、とか、登場人物にはマトモな名前をつけていなかったのがだんだんと普通の名前がつくようになり、ついにはタイトル(田崎つくる)にまで出てくるようになった、とか。そういった変化というのが実は、小説を書く上での「技術」の向上と関連しているいるのだ。なんて、実に興味深い。
そして、彼の読者について語った回『誰のために書くのか』については、長年の村上ファンとして、じんわりと感動的である。いやあ、満喫いたしました。