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野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

木野で飲んでみたいよね

『女のいない男たち』が文庫化されましたですね。

このタイトル、実はヘミングウェイの短編集からとったんですな。原題は"Men WIthout Women"って、『男だけの世界』ってな訳もあるようだけど。
あいかわらずわたくしは大変に楽しめたわけだけども、考えてみたらだいたいどの話も「オチがない」のよな。だからその辺がどうしても耐えられないというか、「へ?」となってしまう人がいるのも、そりゃそうだろな、と思う。だから、いやー村上春樹ってどうもね、とか、あれってどこが面白いの?なんていう人が少なからずいるというのも、まあ仕方がないことだろう。伏線らしきものが思わせぶりにバラまかれて、でもほとんど回収されることなく物語は終わってしまう。ものすごいブツ切り感。え?そこで終わるの?みたいな。これ、レイモンド・カーヴァーもそんな感じなのよな。カーヴァーはいったん最後まで小説を書いてから、終わりの少し前のところで話を切ってしまい、それを発表している。というような説を聞いたことがある。なるほど、ひょっとするとそういうこともあるのかもしれない。
羊をめぐる冒険』あたりからずっとそうなんだけども、彼の長編小説には、決して姿を現すことはないけれども、何か邪悪なものが必ずと言って良いほど登場する。この短編集では『木野』がそうだな。姿を現さないところか、そもそもそれが何なのか、ということに関する説明はほとんどない。それがどうにも気持ち悪い、落ち着かないという人は、まあ結構いるだろう。そのように言われれば、「あるいはそうかもしれない」としかコメントしようがない。そういう小説って読んでも面白くないっていうの、わかるよね?と問われれば「わかると思う」と答えるだろう。実際わたくしだって気持ち悪いと思う。カミタの正体や、木野がこれからどうなってしまうのか、といったことを知りたくてたまらない。ほらあんたもそう思うだろ?そうだな、いくぶんかはね。