世の人もすなる◯◯といふものを、我もしてみむとてすなり。というタイプのエッセイみたいなものというのは、けっこう多いように思うのだ。で、この◯◯の部分が、まあ普通の人ならやってないはずがないよね、てな事なのにやったことがない。そこにちょっとダメな人が挑戦してみた顛末。てな話を、わたくしは好んで読んでいるような気がする。
北尾トロさんの『ブラ男の気持ちがわかるかい』てのは、まあわりとそういうカテゴリーに近いのかもな、と思いつつ読んでみた。
- 作者: 北尾トロ
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/04/10
- メディア: 文庫
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とりあえず、そんなにダメな人ではなさそうだ。もちろん、何でもできるスーパーマン、ではないが、社会生活不適合者というわけではない。この手の本を書く人がダメな人でないとアカン、というような決まりがあるわけではないけど、なんかちょっと中途半端な感じがしてしまうのはちょっとアレだな、普段アカン人系のエッセイ等を読みすぎてしまっているのだろうな。
こんな書き方をすると、つまらんかったんか?と思われてしまうかもしれないが、いやまったくそんな事はない。とても面白かった。このテクストが書かれた当時のトロさんの年齢は50代の前半。つまり今のわたくしとかなり近い。なので、おっさんというものの世界の受け止めかた、というあたりに非常にシンパシーを覚えた… とでも言えば上手いこと話は収まるのだろうが、実際のところはそうでもなかったのだから厄介だ。
いや良いのよ、そんな細かい話は。とりあえず面白かったから。それにしても、トロさん自身の微妙なへなちょこぶりってのもなかなか味わい深くて良いのだが、それより他の登場人物のアクの強さが面白すぎるな。
ま、そんなわけで大変楽しく読みましたです。