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野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

泣ぐ子いねが

読書

NHKの『100分de名著』の『野生の思考』編を観ていたら、『火あぶりにされたサンタクロース』なんて本が紹介されていた。なんだおい、そんなの知らんぞ、要チェックやんけ、と思っていたところに、先日の『回・転・展』の会場で売っていたのでさっそく買い求めた。

火あぶりにされたサンタクロース

火あぶりにされたサンタクロース

1951年のクリスマスイブに、フランスのディジョンでサンタクロースが火刑に処せられた。いやもちろん、サンタクロースの人形が燃やされた、ということなのだけとも。この事件をもとにレヴィ=ストロースが書いた論文に中沢新一の解説が付けられたこの本は、以前に『サンタクロースの秘密』として出ていたものらしい。これがわりと最近になって、もともとのレヴィ=ストロースによる論文に付けられていた『火あぶりにされたサンタクロース』というセンセーショナルなタイトルで新装版となって出てきたのだな。
すでに知られているように、クリスマスというのは、イエス・キリストの誕生日ではない。一年の中でもっとも日照時間が短いこの季節には太陽の力が弱まり、死者の力が強くなる。死者の霊が災いをなさないよう、人々は贈り物を用意して機嫌をとり、なんとか大人しくお引き取り願う、そういう土着のお祭りなのですな。キリスト教会は、救世主の誕生日を改変することで、ヨーロッパの人々の土着の宗教を取り込みながら勢力を広げていったと。そしてさらに、アメリカの商業主義が生み出したのがあのサンタクロースというわけで。アメリカ文化を軽蔑しながらも、どこかで抗いがたい魅力を感じていたフランスで、キリスト教会は脅威を覚え、それがディジョンでのサンタクロース火刑事件となった。だいたいそんな話だったんじゃないかと思う。
つまり何だ、冬は贈り物の季節なのだ。
レヴィ=ストロースの割には難しすぎず、また長大でもないので読みやすく、なかなか結構でございました。