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野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

せんべろ探偵、行ってきました

以前に読んだ『せんべろ探偵が行く』西天満の松浦商店という立ち飲み屋が紹介されており、これはなかなか良さそうじゃないか調査が必要だ、と思ってからすでに5年近くが経過してしまった。たまたまあの界隈に行く用事があったので、かねてからの懸案となっていた本件について現地調査を執り行うことにした。
店の名前は正しくは「松浦酒店」だった。内部は思ったより広い。ど真ん中が厨房でそれを取り囲むような格好でカウンターが設えられている。午後6時半すぎに行ったのだが、おそろしく繁盛している。ほぼ満員と言ってよろしかろう。カウンターの角のあたりにスペースを見つけたのでそこに陣取り、生ビールを注文した。注文を受けるにあたって、ほんの少しのタイムラグというか微かな驚きのようなものが感じ取られたので、少し不安になったが、生ビール自体は問題なく供された。それとなく周囲を見回すと、みなさん様々なものを飲んでいるのだが、 なぜか生ビールだけが見当たらない。ビールはどなたも瓶ビールだ。しまった、ここで生ビールを注文するのはご法度なのか?と焦ったが、いったいいかなる理由においてそんなことになるのか。とりあえずポテトサラダとブリ大根を注文して生ビールを飲みながら考えた。この店はとても繁盛している。厨房内の大将とおかあさんは、それはもう忙しくくるくるとたち働かれている。だから客の我々は、彼らの手を煩わすことはできるだけ避けなければならない。しかるに生ビールというのは、サーバーからジョッキに注ぐのに決して短くはない時間と少しばかりの集中力を必要とする。一方で瓶ビールは、栓をすぽんと抜いてグラスとともに渡すだけで良い。手間がずいぶん違うのだ。なるほどそういうことであったか、いやいやこれは申し訳ないことをした。なにぶん初心者ということでここはひとつご容赦願いたい。などと勝手に納得しているうちに生ビールのジョッキが空いてしまった。かといってここで瓶ビールを注文するのも、なんだか気恥ずかしい。仕方がないので燗酒を飲むことにした。常に燗の状態になっていると思われるガラス製の一合瓶が出てくる。実に素早い。なるほど。燗酒にはやはりおでん、ということでコンニャクとすじと厚揚げを注文した。おでんになぜ大根を入れないのだ、と糾弾される向きもあろうが、いやいや大根は最初にブリといっしょに食べたでしょおじいちゃん。何を言うかあれはあくまでブリ大根であっておでんの大根はまた別物。大根なしにしておでんが成り立つと思うのかこの根性なしが、などと葛藤しつつ、さらにタコぬた合えも追加。

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燗酒一合飲むと、少しばかり回ってきた気がする。というより本来の用事のためにそろそろ去らねばならない。てことでお勘定。しめて1,450円。マジか。これはまさに「安くて、気取らない、それでいてちょっと気の利いたものをつまめる」店じゃないか。いやあこいつは参った。
ごちそうさんでした!