野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

洋介には肉を食わせとけ

沼田まほかる作品といえば、一般には「イヤミス」に分類されるわけだけれども、『ユリゴコロ』はもう、読後感どころか読んでいる途中からすでに、イヤな感じというよりもとにかく禍々しい何かがじゅるじゅるとしたたり落ちる感じで、よくもまあこんな小説を書けるものだと感心する。 

ユリゴコロ (双葉文庫)

ユリゴコロ (双葉文庫)

 

ある日突然に婚約者が失踪し、続いて母親が事故死、さらに父親は癌で余命いくばくもない。という、何とも踏んだり蹴ったりな感じの主人公が偶然に実家で見つけたノート。これを読んでみると、想像を絶するような酷い告白が綴られている。誰がこれを書いたのか。つい先日亡くなった母親だとすると、その母親は実はサイコパスの殺人鬼?
というような想像に苛まれつつ、真相を探っていくと… なんとそうなりますか。いやいやそれはちょっと思いつかなかった。最後はこれ、イヤな後味ってのとはちょっと違うかな。なんだか現実と妄想の境目がちょっと曖昧になってる感じはあるけど。
やはりすごいです、まほかるさん。