野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

文月と書いてふみかと読む

さる筋から「読んでみてください」と、この『うてるす』という本をお貸しいただきまして。

ちょっと長めの短編小説、表題作の『うてるす』と『駅前三丁目』の2篇。
うてるす、とはつまり子宮、ですね。その言葉に象徴されるように、良くも悪くも女性であることの面倒くささ、みたいなものを、割と剥き出しに突き付けられている感じ。男性であるわたくしが読むと、何となく落ち着かない気分にさせられる。あまり自覚していない、内なるミソジニーを刺激され、それと向き合わせられるというか、ある種の踏み絵的な作用があるのかもしれない。
おそらく作者自身でもまだ、うまく片付けられない葛藤みたいなものがあったりするのでしょう。いやまあ、知らんけど。フランス文学研究者の鹿島茂せんせは「文学者とは葛藤を自己表現として解決しようとする者である」っておっしゃってますからね。
けっこうヘヴィな内容も含み、そして適度に不快感も与えてて、なかなか良い感じではないかと思うのですよ。

Mさんこんな感じでよろしかったでしょうか。