野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

あんたはちょっと黙ってなさいよ

だいぶ本気で寒くなってきて、本日よりついにコート着用ですよ。
さて、『花咲舞が黙ってない』。

銀翼のイカロス』と一緒に書店で平積みにされているのを見たときには、「何を今さら。それもう読んだし」と思ったが、いやいやそうではなくて、前に読んだのは『不祥事』であって、確かに主役は花咲舞なんだけどもあの小説がドラマ化され、さらにその後同じタイトルで雑誌に連載されたのがこの本だ。つまり、まだ読んでない。ややこしいなあもう。
もともと『不祥事』はけっこう古い作品で、なるほどあれは産業中央銀行と合併して東京中央銀行になる前の東京第一銀行が舞台だったのですな。時代設定は2000年代初頭だが、つい最近の連載だったこともあってか、大手電機会社の粉飾決算なんてネタも仕込まれていたりする。そんなのも含めて、まあとにかく銀行のダークサイドをあれこれぶち込んだ短編集なわけですな。
前記の通りこの作品は東京第一銀行が産業中央銀行と合併する前、というか合併が決まった直後、という設定になっている。なので産業中央銀行の話もちょろちょろ出てくるな、と思っていたら、合併交渉の場に半沢直樹まで登場したりして、これっていわばファンサービスですかね。
個人的にはずばずばモノを言う花咲舞より、上席に対しては弱腰で、臨店検査の出張先で良い店を見つけて美味いものを食うのを楽しみにしている相馬課長のほうがキャラ的には好きだな。ドラマでは上川隆也だそうだけど、もうちょっとうだつの上がらない感じにしてほしかったなと思う。実はドラマ観てないんで別にどうでも良いんだけど。