野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

なんで斜線を引くんだよ

立花隆氏がどこかで、「自分の身の丈に合わない本を無理して読まない方が良い」てなことを言っていたような気がする。あるいはそうかもしれない、と思う。多分に時間の無駄だ。もうたいがいおっさんになって、自身の残り時間について少しは真剣に考えないといけない立場では特に。
とは思うのだけど、つい手を出してしまうのですよ。ということでジジェクの『イデオロギーの崇高な対象』。

そもそも何の本なのだこれは。何ヶ月もかけてやっと読み通して、解説も読んで、どうやらこれはラカンについての解説らしい、ということが何となくわかった。しかしこれが「ラカンの解説」たりうるには読者側にも相応のレベルの事前知識を要求される。すなわち、カント哲学の不足を補うためのヘーゲルの観念論哲学。そのヘーゲルの思想に対するマルクスの批判。このあたりをきちんと押さえておかなければ、ジジェクの思想についての理解はおぼつかない。加えて、ジジェクの文章ってのがまた、「〜は〜であり、また〜である」などとと書いてあって、ほうほうと思いながら読み進めていくと、「というのは間違っている」なんていう風につながってずっこける、ということが頻繁に起こる。なぜもっとストレートに書かないんだ。
というわけで、まったく何言ってんだか、さっぱり理解できませんでした、ハイ。
数々の小説や映画、さらには小話なども引用し、それらを事例としてラカン理論を解説する、というアプローチは、なかなか面白いし、おっ?と思うような部分も所々にあったりするのですけどね。