野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

『FIRE DOG』から3曲

先日購入した『紅盤』を最近けっこうヘビーローテーションしている。1曲めの『ベリーベリーストロング 〜アイネクライネ〜』の元ネタ(?)である伊坂幸太郎の『アイネクライネナハトムジーク』も読んでみなければ、ということで。

『ベリーベリーストロング』に断片が散りばめられている物語が、ぶわっとふくらんで一冊の連作小説になっている。それぞれの短編が、少しづつどこかでつながっていて、しかも二世代、19年にわたる物語で、ちょっと『百年の孤独』を連想した。いや、規模はだいぶ違うのだけど。
「斉藤さん 一回百円」とだけ書いた立て札を置き、路上で商売をする男性。客が今の気分を伝えて百円を支払うと、それにあった感じの曲の一部をパソコンで再生する。という話が好きだ。曲はすべて「斉藤なにがしというミュージシャン」ということだけど、それってほら。「鎖を噛み切れ!首輪を振り払え!今すぐここから飛び込め!」ってそれ『FIRE DOG』よね。「口笛吹いて歩こう、肩落としてる友よ。いろんな事があるけど、空には星が綺麗」なんて、そのまんまタイトル言ってるし。
一見バラバラの五つの短編が、最後の『ナハトムジーク』できれいに統合されていく。その様子をほほう、とかへえ、なんて感心しながら読むわけだ。こういうのがほんと巧いよね伊坂さん。いやあ面白かった。そして、『紅盤』を改めて聞き直すとさらに味わい深いわけですよ。