野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

「まさに」とか連呼してやがんの

先日観た映画『ウィンストン・チャーチル』はかなり面白かった。その勢いに乗って、4年ほど前に初めて読んだ『第二次世界大戦』をあらためて読み返してみることにした。前回読んだ時には、なかなか内容が頭に入ってこなくてずいぶん難儀したものだが、一度映画を観ていることだし、もうちょっと読めるだろう、と思ったのだ。

第二次世界大戦 1 (河出文庫)

第二次世界大戦 1 (河出文庫)

 

いやあ、驚きましたね。アカンもんはやっぱりアカン。とりあえず、内容をほとんど覚えてないのにも驚いた。あの映画の始まったあたり、議会が混乱している様子を、ゆっくりテキストで読めばもう少し整理されてわかりやすくなるかな、と思ったけど、ちーともそんなことない。しかも、この第1巻では、チャーチルが首相になるのって本当に最後の最後あたりだ。映画はそこから始まるというのに。ではこの第1巻には何の話が書かれているかというと、ヴェルサイユ条約の欠陥が第二次世界大戦の原因である、と言い立て、平和主義者のせいでイギリスの軍備はドイツに遅れをとったのだ、と糾弾し、ナチスドイツが擡頭してくる様子を克明に語る、とまあだいたいそんなところだ。朝食にスコッチ、昼食にシャンパーニュ、のべつまくなしに葉巻を吸い、秘書に口述筆記をさせるが滑舌が悪いため間違いまくり癇癪をおこす、といったチャーチルのカラフルな怪物キャラクターはこの本からは残念ながら読み取れない。
で、これもまたあらためて思ったのだけど、この翻訳ヒドいわ。「デゴー・シング」って何のことだ?と思ったら、それdegaussingですやん。普通に「デガウシング」って読んだらええんやで?ていうか、ちゃんと「消磁」って訳せよ。わたくし、こういう風に専門用語をええ加減な訳しかたするのがものっそい嫌いなんですよ。翻訳で食うてるやつが手ぇ抜くなや、てね。ああもうイライラする。

この本によると、チャーチルって首相になる前からすでに海相として入閣してるのよな。映画ではちょっと違ってたように思うんだけど、どうなんかな。映画の話は第2巻以降だ。すでにここまでで結構げんなりしていて、どうも第2巻に手をつける気になれないのよな(ああそういえば前回もそうだった)。しばらくほとぼりが冷めるのを待つとしよう。あの映画がテレビで放送されるようになるぐらいまで。