野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

記憶をリフレッシュするのだ

物語が途中で止まり、かれこれ10年以上も経ってしまって続編はもう出てこないのだろうとほぼ諦めていた『十二国記』の新作が出る、という驚きのニュースが昨年の12月に伝えられた。時期は未定であるが2019年に出るはず、とのこと。朗報である。が、ずいぶん昔に読んだ本なので内容をほとんど覚えていない。これは新作のリリースに備えて復習が必要だな、と思っていた。宮城谷版『三国志』を読み終わり『ベルサイユのばら』も片付いたので、いよいよ『十二国記』に取りかかることにした。まずは『月の影 影の海』の上巻から。

月の影  影の海 (上) 十二国記 1 (新潮文庫)

月の影 影の海 (上) 十二国記 1 (新潮文庫)

そう、主役は陽子で、ある日突然「麒麟」に連れ去られる、という話だったことだけは覚えている。もちろん上巻ではまだ麒麟の概念については説明されず、ただ「ケイキ」という名前が出てくるのみ。とにかくわけがわからないうちに陽子は本人の意志とは関係なく「ルールのわからないゲーム」のプレイヤーとなることを強いられ、不条理としか言いようのない状況に翻弄されつつ、与えられているいくつかの「アイテム」により辛うじて生き延びていく。たしか陽子はどこかの国の王であるのを、ケイキが見つけ出し、この十二国の世界に連れてきた、というような話だったかと思う。なんかチベットダライ・ラマみたいだ。ここまで無茶苦茶ではない(妖魔と闘ったりしなくてよい)にしても、ある日突然「ダライ・ラマの生まれ変わり」として認定されたらそのままどこかに連れていかれてしまうわけで、ちょっと陽子みたいな感じになるんじゃなかろうか。
上巻の時点ではまだ、かの世界には12の国があって陽子がいるのは巧国、じつは日本語は通じないはずなのになぜか陽子は会話ができている、というところまでしか説明されていない。物語が始まるのはこれからだ。