野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

キリンさんが好きです、でも

『月の影 影の海』は『十二国記』の導入編で、読者は十二国記ワールドがいかなるものか、を何となく理解できるようになっている。さてそれでは陽子はこれからどうなるのか、と勢い込んで続編の『風の海 迷宮の岸』を読むと、これがまた全然別の(と言っても十二国記ワールド内のだけど)話になっている。主役は泰麒、戴国の麒麟だ。陽子はどこへ行った?てなもんだが、これは陽子が蓬莱(日本のことね)から連れ戻されてくるよりさらに前の話、ということになっている。

麒麟、は十二国記ワールドにおいては非常に重要なので、ほぼ一巻を割いて解説している。いや、そんな露骨な解説ではないのだけど、十二国記ワールドにおける麒麟システムの理解を助けるための、とても良くできたお話しですわな。十二の国にはそれぞれ王がいる。その王はどうやって決まるのかというと、天意に従って麒麟が選ぶのだ。なんて言われても何言ってんだアンタ、てな感じでピンとこない。そういうのを具体的なお話で聞くと、あーそういう感じなのね、とイメージしやすいと思うわけですよ。
それにしてもこの巻の主役である泰麒(泰国の麒麟ね)はかなり頼りない感じ。そんなんで大丈夫か、ちゃんと麒麟が務まるのか、と読者に心配させるのがポイントだな。というわけで下巻に続く。