野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

1、2の次は「たくさん」ってことですよ

ほう。ついにエッセイですか柳広司さん。『二度読んだ本を三度読む』。岩波新書ってのが渋いね。

柳広司氏が昔さんざん読み倒した本を、あらためて読み直して紹介するという趣向で、若い読者のための読書ガイド的な感じでもある。作品の魅力はもちろん、著者とその作風やら何やらに関する独自の解説、そして小説家というものの生態や出版業界の内情についても語られる。なかなか楽しい本だ。加えて、わたくしなどは昨今の世の中に対してなにかと釈然としないことやどうにも気に入らないことがあるわけだが、そういうものに対する異議申し立て、あるいは嫌味、みたいなかたちで実に上手に言語化してくれていて、それがまた痛快でもある。
内容的にはそんなにマニアックな選書ではないと思うが、恥ずかしながらわたくし読んだことがあるのは半分ほどしか無いな。その中でも三度以上読んだ、といえば『山月記』ぐらいか。
「二度読んだ本は少ないが、三度読んだ本は意外に多い」って書いてるけど、うーん個人的には、二度読んだ本はわりと多いけど、三度(以上)って数えるほどしかない。『脱走と追跡のサンバ』、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』、『遠い太鼓』、『やがて哀しき外国語』てなあたりか(だいぶ偏ってますね)。『悲しき熱帯』は2回半(三度目が1巻だけで止まってる)。翻訳違いでは『長いお別れ』(『ロング・グッドバイ』)と『さらば愛しき女よ』(『さよなら、愛しい人』)は三度(いずれも清水版を二度と村上版を一度)、『偉大なるギャッツビー』(『グレート・ギャツビー』)は野崎版を二度、村上版一度に加えて原書まで読んだ。そういえば先日の“Showstopper!”をカウントすれば、『闘うプログラマー』も三度読んだことになるな。
まーとにかく、読んでみたい本がいくつか出てきた。それにしても、『悲しき熱帯』の2巻が行方不明なのだけど、いったいどこへ行ったんだろう?