野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

ちょっとラリってしまうよね

久しぶりにボルヘスでも読んでみようかな、と思ってKindleストアからむやみに長くなさそうなものを探してみた。で、『ブロディーの報告書』。

ブロディーの報告書 (岩波文庫)

ブロディーの報告書 (岩波文庫)

「鬼面ひとを脅かすようなバロック的なスタイルは捨て……やっと自分の声を見いだしえた」などと言っていて、そりゃまあ確かに「バロック的なスタイル」ではないのかもしれないけど、何だか相変わらず人を食ったような話ばかり、というか一回読んだだけではなかなかストーリーが頭に入ってこない。2〜3回読み直してやっと、ああそういう話なのか、と大枠は掴めるのだけど、しかし何だか怪体な話であることには違いない。登場するのがアルゼンチンのガウチョとかその他ならず者ばかりで、その思考であるとか行動パターンが我々の想像とか理解の範囲を超えたところにあるのが、話をわかりにくくしている原因ではないかと思う。にもかかわらず、なんというかこの全体に伏流する異様な雰囲気には、妙に惹かれるものがある。そのあたりがまたボルヘスの魅力というか魔性というか。しばらくはやめといた方が良いかもしれない。