野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

雨田は怪訝そうな顔で私を見た。「良い曲じゃないか」と彼は言った。

先日読んだ『騎士団長殺し』の中に、主人公が友人の運転する車に乗ってカセットテープでABCの“Look Of Love”を聞き、そのアナクロニズムに感心(?)する、という場面がある。ブルース・スプリングスティーンダニー・ハサウェイをアナログレコードで聴いているくせにABCやデュラン・デュランにはなんでそんなに冷淡なんだ、と思わず苦笑してしまったが、まあ確かにABCなんてのは、どうもキッチュな感じがするのも否めない。いや、わたくしは好きなんですけどね。リアルタイムでは“Alphabet City”ぐらいまでは聴いていたかな。だいぶ後になってから(記録によれば2014年だ)“The Lexicon Of Love”のCDを買って、それ以来まあわりとよく聴いている。
でそのABC、最近どうしてるんだろう、と調べてみたら、なんとまだ活動している、と。 Wikipediaの「現在もセッションメンバーを加えながらディナーショーや懐メロコンサートなどで音楽活動を続けている。」という記述が泣かせるな。
そして2016年には“The Lexicon Of Love II”が出ていた。うわあ。

The Lexicon of Love II

The Lexicon of Love II

  • ABC
  • ポップ
  • ¥1600
さっそくApple Musicで聴いてみるわけだが、あーなるほどね、とは思うけど、初めてABCを聴いた時のあの感じは無いなあ。テイストはまさに“The Lexicon Of Love”のそのまんまなのに。お互いおっさん(というかマーティン・フライはお爺ちゃんか)になったってことかな。ニューロマンティックとか第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンなんてのはね、昭和の話なんですよ。