『白い巨塔』もついに最終巻、第5巻だ。
- 作者: 山崎豊子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/11/04
- メディア: Kindle版
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んで財前君、なんと胃癌になってしまう(しかも手遅れ)わけだが、その診断をした大学病院の医者も癌センターの里見も、本人に告知しないのな。いくら当時は告知しないのが普通っていったって、さすがに癌の専門医の財前君はごまかしきれんでしょうに。こういった部分も含めて、やっぱり時代を感じますわねえ。家に帰ると着物に着替える人けっこういるし、病院でもみんなタバコすぱすぱ吸ってるし。まあ昭和30年代の話ですから。今はあんまり聞かないけど、インフォームド・コンセントなんて言い出したのは1990年代、平成の時代になってからじゃないかな。そのインフォームド・コンセント以前にあったのが「医師の権威(パターナリズム)に基づいた医療」ってなわけで、まさにこの小説の舞台になった大学病院ってところはとにかく、パターナリズムの権化、という感じですわなあ。
発表から半世紀以上が経ち、背景の設定、風俗は古くなる一方だが、何度もリメイクされ一定以上の評価を得ているというのは、いまだパターナリズムに律されているダークサイドが、今も変わらず大学病院にはあるんでしょうよ。怖いですねえ。