野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

カナマロって何語なんだろうと思ったら

『内閣調査室秘録』という本がやたら面白い、と誰かがTwitterに書いていたので、読んでみた。

現在の組織で言えば内閣情報調査室、この本に出てくるのはその前身である内閣総理大臣官房調査室だ。もともとは日本版CIA、というような構想もあったらしいが実際にはCIA的な謀略活動はさほどやっていない(やれなかった)ようだ。まあ本場のCIAだって、その謀略活動は決して成功したとはいえないようだし。
とにかくその内閣調査室の中の人、ことに創設メンバーである志垣民郎氏の回想録、というか日記のような覚え書きをベースにしているいるわけだが、これを読んで「面白い」と思うためには、当時の情勢についての知識がベースにないと、なかなか厳しいんではないかと思われる。びっしりと細かい字(老眼には辛すぎるのでKindleのフォントサイズをひとつ大きくした)で、いつ、誰と、どこで会い、どんな話をした、というような記録が延々と続く。たくさんの学者と会食をしていたようだ、というのはわかるが、話の内容というのはほぼキーワードの羅列なので、わたくしなんぞが読んでも何のこっちゃ、という感じなのだ。でもまあ何となくわかるのは、売り込みはありながらもあまり評価が高くなくてぞんざいな扱いを受けた人々と、ずいぶんと重用された人々がいるらしい、ということだ。もっとも、さほど丁重には扱われていない先生方に対しても「委託調査費」を払ってあれこれと情報を入手していたらしい。そして、これも『CIA秘録』を読んで感じたのと同じだが、あんたらそんなにコミュニストが怖いんか、と。
とりあえず、日本の核武装の可能性についてかなり本気で検討してた、というのはちょっとびっくりしたね。エマニュエル・トッドが数年前の朝日新聞のインタビューで、日本も核武装の可能性について検討してみるべきだ、なんて言ってるのに対して、アンタ何言ってんだ、と思ったものだが、すでに数十年前にあれこれ検討してたわけですね。やれやれ恐れ入りました。