野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

チェーホフ読んだことないのよね

JR伊丹駅から阪急の方へ向かう、歩行者専用の数百mほどの道はなかなか良い感じですな。あの道の南側は少し前までお寺があったということだけど、うーん良く覚えてないな。あの道沿いには良さげな店がぽつんぽつんと並んでいる。その中の一つ、一福という蕎麦屋で昼飯を食べた。割子3枚に舞茸天ぷら・たまご・芋・山菜・おろしが乗った「奥出雲割子」。

積んだ状態じゃなくてバラバラにして写真撮るべきだったかな。舞茸の天ぷらが美味かったすわ。

えーと、なんではるばる伊丹まで行って割子蕎麦なんぞ食べているのかというと。
ニットキャップシアターの舞台を観に行ったのだ。『チェーホフも鳥の名前』。

実はニットキャップシアター、初めてだ。伊丹のアイホールもかなり久しぶりに来た。美術館の方は何度か来てるんだけども。最後に来たのは『しりあがり寿の現代芸術 回・転・展』だが、あれってもう2年半も前のことだったのか。
ってのは置いといて、とりあえず芝居については、一言で云うと「なんやしらんけど面白かった」という感想。どんな話?と訊かれても、うまく説明できない。舞台はサハリン(樺太)だ。チェーホフ宮沢賢治もサハリンを訪れたことがあるらしい。そんな話をネタに、ギリヤーク(サハリンの先住民)、ロシア(ソ連)人、日本人、韓国(朝鮮)人が入り乱れての、3世代(節子の息子と曽祖父ポチョムキンまで入れたら5世代だ)にわたるクロニクル。3時間もの芝居だが、まったくダレることがない。事前にパンフレットで人物相関図を見たのだけれども、複雑すぎてとても頭に入らない。うわーまいったなこりゃと思ったのだが、これが不思議なもんで、芝居を観ていると、すーっと理解できる。それぞれの役者さんが一人何役もしていてややこしい事この上ない、はずなのだが、その辺もあまり問題なく(ところどころで、あれこのヒト何代目になるんだっけ?と少し悩んだけど)。いや大したもんですな。
音楽がまた良くて、ほぼ全編で鳴っている田辺響さんのパーカッションは、シンプルな音なのに実に雄弁というか表情豊かというか。久保夏海さんの歌も、不穏なサウンドエフェクトになったりストレートにしみじみと響いたり。
あとで気付いたけど、主役というか後半の物語の中心になっているのは節子・チョムスン・もとこ、という3人の女たち。あ、つまり、「三人姉妹」てこと?いや、知らんけど。登場するのはみんな、地理的にも社会的にもマージナルなあたりの人たち。そういうところで一体ナショナル・アイデンティティって何なのよ?とワケがわからなくなる。要するに「みんな仲良くしよう」ってことですよ。知らんけどね。