野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

「すぐ帰るマン」vs 松岡修造

途中まで読んで一時中断していた『『罪と罰』を読まない』の残りを一気読みした。
いやー面白かった。

罪と罰』を読んだことのない4人が集まって、断片的な情報をもとにストーリーの詳細を推理するわけだが、後半部分は『『罪と罰』を読む』、つまり実際に『罪と罰』を読んで、それまでさんざん妄想を膨らませてきたストーリーを検証する、いわば「答え合わせ編」となっている。
わたくしもずいぶん昔に『罪と罰』を読んではいたが、その内容はほとんど覚えていなかった。だから『罪と罰』を読んだことがないというこの4人とほぼ条件は同じで、だから前半部分は非常に楽しめたのだけども、このまま「答え合わせ」に突入してしまったら、わたくしだけが取り残されてしまうではないか、ということで一時中断して『罪と罰』を読んだ次第だ。
この判断は正しかったと思う。ストーリーの細部にわたるまで内容を覚えていないと、後半部分、特に「読後座談会」はフルに楽しめない。
「人、多すぎ、しゃべりすぎ」とか「出てくる人がみんな頭おかしい」といった感想については激しく同意する。一方でスヴィドリガイロフの人気がずいぶん高くてびっくり。そしてラズミーヒン=松岡修造説には笑った。ルージンはスティーブ・ブシェミポルフィーリィは片岡愛之助で脳内再生されていた、というのはもう、無茶苦茶ですがなそれ、という感じだし。
あと、ストーリーにはほとんど関係無いのに全員が「ポチンコフ」という名前に引っかかっていたというのがまた何とも言えない。もちろんわたくしも「何ちゅう名前や…」と驚いていた。

いやそれにしても、やはり三浦しをん氏の読み方はすごいな、と思った。アホなツッコミ(これがまたオモロい)をたくさんしつつも、目の付け所が、さすがは小説家、という感じで。
というわけで、大変に楽しめました。『罪と罰』を読み直したので、記憶が確かなうちに、ストーリーを推理する前半部分の座談会をあらためて読んでみるのもまた面白いかもしれない。