野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

行田市なんて初めて知ったよ

陸王』の文庫が出たので読んでみた。

陸王 (集英社文庫)

陸王 (集英社文庫)

700ページもあるけど、数日ほどで読み終わってしまった。
老舗の足袋メーカー、こはぜ屋が新規事業としてランニングシューズ業界に殴り込みをかける、というお話は、いつもの池井戸作品同様に、胃の痛くなるようなピンチに何度も見舞われつつ分かりやすいワルモノと闘い、最後に正義は勝つ、という感じで、それでも安っぽくはならないのはさすがだな、と。
そういえば昨年はドラマもやっていたようですな。
地下足袋と、屑繭を原料にした新素材、そして特殊な編物を組み合わせて画期的なランニングシューズを作る。こういう、もともとかけ離れたものをつなぎ合わせて新しいものを創り出すのがまさにイノベーション、ってやつですよね。これだけでもなかなかに面白い話だ。
そしてこの話はまた、古典的な競争戦略論のケーススタディっぽくもある。ポーターのいわゆる5 Forcesを、ランニングシューズ業界で考えてみたらどうなるか、みたいな。ソールの研究開発には莫大な投資と時間がかかり、それが参入障壁になっている。ところが、そこに画期的な新素材と、アスリートからのフィードバックを反映させることのできる優秀なシューフィッターがいればその障壁を下げることができる、ということか。ということはシューフィッターの力量およびアスリートとのリレーションが死活的に重要になってくる、ということはMBAホルダーの小原部長なら、ちゃんと理解してるはずだけどねえ。

ところでこの小説に出てきたミッドフット走法(すでに昨年ドラマ化された時に世間では話題になったようだが)、わたくしもちょっとやってみたのだけど、なんか爪先立ちで走ってるような変な感じ。あまり長い距離は走ってない(3〜4kmほど)のだけど、これ10kmぐらい走ったら、けっこうふくらはぎあたりに来そうな気がするなあ。来週ぐらいにもう一回試してみますです。