野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

並べ換えたら一文字違いだし

ユヴァル・ノア・ハラリという名前がなかなか覚えられず、どうしてもアルヴァ・ノト・ハラリになってしまう。名前は覚えられないが『サピエンス全史』はなかなかスゴい本だったと思う。
そのハラリの『ホモ・デウス』はまだ読んでないのだけど、『21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考』を読んだ。

『サピエンス全史』は人類の歴史、つまり過去についての話だった。『ホモ・デウス』は未来を描いているらしい。そしてこの『21 Lessons』は、ある程度の未来予測(これだけでもかなり衝撃的な内容だが)も交えながら、現在について語っている。
我々が今生きている現在、どんな問題があるのか。それは解決できる可能性があるのか。そのために何をしないといけないのか。我々の生きる世界を、どう理解するべきなのか。自明だと思っていることは、あらためて考えてみると、どうなるのか。

ホモ・サピエンスが狩猟採集民として生活していた時代、ものごとは極めてシンプルだった。それから10万年以上が経過し、認知革命とテクノロジーの進歩により自由主義秩序のもとでの平和と繁栄を享受できるようになった一方で、世界はあまりにも複雑になりすぎた。一方でホモ・サピエンスの個体の能力は特に進化したわけではない。我々は物事を単純化しないと理解することができない。もちろんそれで良い場合もあるのだけど、我々がこれから直面するであろう(あるいはすでに陥っている)グローバルな苦境は、単純化しすぎると状況の把握も対処も正しくできない。

自由主義、資本主義、科学とテクノロジー、生態環境、差別と偏見、宗教… 次々と大きなテーマについて、なるほどそういうふうに考えられるのか、と驚くような知見を畳みかけられるのは、知的負荷が高くしんどいことであるが、なかなかエキサイティングでもある。
読んだ前後で物の見方であるとか考え方が少しでも変わるっていうのは、やっぱりすごい本だなと思う。
順番が前後してしまったけど、やっぱり『ホモ・デウス』も読んどくかな。