『何度でもオールライトと歌え』がかなり好みだったので、他にも何か読んでみたい、ということで見つけたのがちくま文庫の『ゴッチ語録 決定版』。
どうやらこっちの方が古いようだ。ぴあに連載していたものをまとめて、さらにアジカンのメンバーや山元直樹、宮藤官九郎なんていう面々との対談を加えたものだ。あいうえお順にお題を決める「ゴッチ語録 - GOTCH GO ROCK! -」の前半とアルファベット順の「ゴッチ語録AtoZ」の後半に大きく分かれる。いずれも、各項の最後に「オススメ盤」が紹介されている。なかなか面白い。
当たり前だが、ゴッチの趣味嗜好が強く反映されている。そして回によって(つまりお題によって)ネタを絞り出すのに相当苦労していたりする。「ぬ」の回はヌーノ・ベッテンコートを取り上げたものの、ヌーノもエクストリームもまったく聴いたことがないと正直に告白し、いろいろ困った、とぐだぐだ書き連ねて明らかな字数稼ぎをしているのが微笑ましい。AtoZでは“Q”が鬼門らしく、いや普通ならQueenとかQuiet RiotとかQuincy Jonesとか何かしらありそうなものだが、“Quiz”なんてお題を選び、『アメリカ横断ウルトラクイズ』のサントラ(そんなもんあるのか)を紹介していて笑える(いま改めて見直したらQueenは「く」の回で取り上げていたが、それにしたってQuizはあんまりだろうと思う)。
アジカンの音楽がわたくしの好みど真ん中、というわけではないように、ゴッチの音楽の嗜好そのものがやはり、わたくしのそれとは少しズレている。が、まったく外れているわけではなく、名前は知ってるけどちゃんと聴いたことない、とか、嫌いじゃないけどわざわざCD買ってまで聴いたりはしない、というあたりに位置する。
たとえば彼が心酔するOasis、強い影響を受けているというweezer、敬愛してやまないストーンローゼス、といったあたり。あ、奥田民生とXTCはわりと好きで一応CDも持ってるけど、ゴッチほど熱心じゃない。という感じで。
でもこのゴッチのテキストを読んでいると、やっぱりもうちょっと、あの辺もちゃんと聴いてみても良いかな、という気になる。幸いにして今は、その気になればApple Musicでその辺は大抵カバーできる。というわけで、「ゴッチおすすめアルバムプレイリスト」を作ろうかなと思っているところだ。