野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

けどいくらなんでも同僚はないよな

世間で話題になっているオバマ回顧録の「誤訳」問題、意図してああいう訳をしているのだとすると悪意に満ちていてどうしようもないクソ野郎だし、本当に誤訳なのだとすると、救い難いほどに無能なんじゃないのか。

などとエラそうにカマしてみたが実を言うと、あの
A pleasant if awkward fellow
というフレーズ、わたくしもぱっと意味が理解できなかった。
翻訳をやる人などに言わせると、この「形容詞A if 形容詞B」という構文はごく基本的なもので、これを誤訳するなどというのはちょっとどうかしている、とのこと。
恥ずかしながらわたくしは、この構文について知らなかったのだ。
手元の「英和中辞典」(高校生の時から使っているものだ)でifを引くと、大項目の2番目に「[譲歩]たとえ…としても(even though)」という意味で、

If he be ever so rich… (どんなに金持ちであろうとも…)
I will do it if it kills me. (たとえ命をとられようとも私はやります)
His manner, if patronizing, was not unkind. (彼の態度は恩着せ顔ではあったが不親切ではなかった)

などという例文とともに載っている。今回の事案は3番目の例文に該当するわけだな。
うーむ、こんな文をわたくしは見たことがない。何でも、難関大学の入試問題レベルらしい。
難関大レベルというなら、ということで「英文標準問題精講」(いわゆる「原の英標」ですな)をあたってみたが見つけられなかった。

英文標準問題精講

英文標準問題精講

ちなみに、とある英文法のテキストでは、ifの"more advenced points"のひとつとして、次のような記述がある。

If meaning 'although' In a formal style, if can be used to admit something before making a contrasting point. The meaning is rather like although. This is common in the structure if + adjective (with no verb).
His style, if simple, is pleased to read. (='Although his style is simple, it's...')
Their income, if lower than last year's, is enough for them to live on.

なるほどね… 受験生が読むくらいの英語はだいたいわかるぜ、とわたくし慢心しておりました。
まだまだですな。精進いたしますです。