野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

これこそブルシットってやつじゃないか?

『マネー・ショート』という映画が何だか面白そうだ。どうやら原作があるらしい。『世紀の空売り』というノンフィクションだ。
それじゃまずはこいつをちょっと読んでみようじゃないか。
どうやら、リーマンショックで儲けたやつらの話らしい。

いやちょっと待てよ、リーマンショックって、儲けたやつがいたのか?
そもそもリーマンショックとは何か。

ちなみに「リーマンショック」ってのは、英語では”financial crisis of 2007–2008”または”global financial crisis (GFC)”というらしい。
まあそれはどうでも良くて、とりあえず低所得層向け住宅ローン(サブプライムローンってやつですね)が焦げ付いて、リーマン・ブラザーズが倒産した事件、これがリーマンショックだ。
と思っていたのだが、実際にはもう少し(いや、かなり)複雑な話であるらしい。
サブプライムローンをもとに、モーゲージ債券(MBS)を作ったやつらがいて、そのMBSの中であんまりタチの良くないやつをかき集めて、さらに他の自動車ローンやらカードローンやらまでごった煮で債券化した債務担保証券Collateralized Debt Obligation: CDO)というやつがあって、さらにそのCDOのクズを集めた CDOがあって、そういうウンコみたいなCDOに対する保険としてCDS (Credit Default Swap)、なんてものまでできていたらしい。いわゆるデリバティブ金融派生商品ですな。ヤバいといわれるやつ。
実際の中身はややこしすぎて理解できないけども、まあこのMBSやらCDOやらCDSなんてのができてきた経緯を聞けば、後ろの方のやつほどウンコまみれであることは明白だ。それがどういうわけかBBBランクのクズを集めたCDOに対しては、Aランクの格付けがされたりしていたらしい。
その格付けをしていたのが、あのS&Pとかムーディーズとかいう有名どころだっていうんだから畏れ入る。
で、住宅価格の下落(つまり担保の価値が減った)によってその辺が軒並みワヤになったのが連鎖していったというようなことらしい。
後付けで話を聞けば、そんなデタラメな話が成り立つわけがなかろう、ウォールストリートの連中の頭に詰まってるのはオガクズか何かか?としか思えないのだが、とにかく当時はそういうのがまかり通っていた、ということなのだな。
で、それでも当時から、業界の中でごくひと握りの連中は、これはアカンやろ、と気付いていたわけだ。どいつもこいつも曲者揃いで、超絶頭良いけど、だいたいが人格破綻者か社会生活不適合者だ。
で、彼らは金融システムが破綻する方に賭けて、みごと大当たりを得た、ということだ。
デリバティブってなんだかすごく難しいけど、要するに手の込んだ博打なのよな。そりゃまあ博打やりたいやつらは勝手にやってくれれば良いけど、ヘタ打った時に一般市民を巻き込まんといてほしいのよね。

あとがきを読んでいて気付いた(遅いわ)のだけど、マイケル・ルイスって『マネーボール』の著者でもあるじゃないか。ああ、なるほどそういうことか、と思った。でもやっぱり野球に比べたら金融の話は格段に難しいなあ。