野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

読書

マッドマンには敵いませんな

佐藤優という人は、「内在的論理」という言葉を本当によく使う。 対談を含めた大量の著作の中で、この言葉が出てこないものは無いのではないか。少なくともわたくしの知る限りにおいては皆無である。つまりどの著作においても必ず「内在的論理」という単語が…

そりゃ一応はフィクションですけど

『チーム・バチスタの栄光』を始めとする、「桜宮サーガ」と呼ばれる一連の作品群、けっこうあれこれ読んだけども、とにかくそれ以上に多くの作品があるため、とても全部読むのは無理だ(そしてちょっと飽きた)ということで、ある時期からはフォローしてい…

お説ごもっとも、と思いつつ

「世界的権威が語るテクノロジーの歴史と未来」とか「ビル・ゲイツ 全著作を愛読 大絶賛!」なんていう帯の煽り文句につられて、『Invention & Innovation』なんていう本を買ってしまった。Invention and Innovation 歴史に学ぶ「未来」のつくり方作者:バ-…

そんなに昔の話でしたか

『ねにもつタイプ』を初めて読んだのは、もう14年近くも前の話だ。 それですっかり岸本ワールドの虜になってしまい、以来『なんらかの事情』、『ひみつのしつもん』と新作のエッセイ(の文庫版)が出るのを待ち構えて読んでいる。 しかしながら『ねにもつタ…

気持ち悪い文章が満載ですよ

これまたやたらとKindleから「あんたこんなん好きやろ」とオススメされまくる『ふだん使いの言語学』。 そりゃまあ確かに川添さんの本は結構あれこれ読んでるからな。ふだん使いの言語学―「ことばの基礎力」を鍛えるヒント―(新潮選書)作者:川添愛新潮社Ama…

あるいは式部と葛木のコンビとか

『黒祠の島』を読んだ。黒祠の島 (新潮文庫)作者:不由美, 小野新潮社Amazonそもそも「黒祠」って何だ?そんな言葉初めて聞いたぞ、と思うのだが、この小説の中では以下のように説明されている。 明治政府が行った祭政一致政策によって、全国の神社は位階制で…

書写山の社僧正が出まして

昨年『義経』を読んだのは、町田康の『ギケイキ』を読んでみたかったからだ。 なのにもう、『義経』を読んでからかれこれ半年が経とうとしている。 こりゃいかん、ということで忘れないうちに読んでみた。ギケイキ 千年の流転 (河出文庫)作者:町田康河出書房…

ジェイソンは生きている

最近、書店で平積みになっていたり、やたらあちこちで宣伝されていて、何やねんいったいという感じで気になっていた『変な家』を読んでみた。変な家 文庫版作者:雨穴飛鳥新社Amazon何が変なのかというと、間取りが不自然なのだ。 間取り図を見ると、確かに変…

ああいう感じになるのもわからんではない

『ある男』がかなり良かったので、ちょっと他にも平野啓一郎を読んでみないと、と思いつつも、あえて『マチネの終わりに』とか『本心』あたりではなく、デビュー作である『日蝕・一月物語』に手を出してみた。日蝕・一月物語(新潮文庫)作者:平野 啓一郎新…

マウの父はフォッフォ

元日の夕方に、録画してあった『ハウス・オブ・グッチ』を観ていたら、何やら長周期の振動で揺れ、気色悪いなおいと思っていたら、それがつまり最大震度7の能登半島地震で、正月早々に物騒なことであった。 まあそれはそれとして映画の方はずいぶんと面白く…

わたくしには視えないんですけどね

書店で『阪急沿線怪談』なんていう安っぽい本が目にとまり、つい買ってしまった。阪急沿線怪談 (竹書房怪談文庫)作者:宇津呂鹿太郎竹書房Amazonタイトルに「阪急沿線」とあるけど、阪急電鉄そのものはあまり関係ない。 いろんな人たちから聞いた体験談(怪談…

加速主義っていうんですね

「新しい戦前」とは、2022年の末に「徹子の部屋」に出演したタモリが言い、話題になったのだとか。知らんかったなあ。新しい戦前 この国の“いま”を読み解く (朝日新書)作者:内田 樹,白井 聡朝日新聞出版Amazonそれをタイトルにしたこの対談本が出た2023年の…

桐島、偽名やめたってよ

1970年代に起こった連続企業爆破事件の容疑者として、50年にわたって指名手配されていた「桐島聡」を名乗る男が鎌倉市内の病院に現れた、というニュースを聞いた。 ちょうど『ある男』を読み終わったところで、何ともタイムリーな話である。ある男 (コルク)…

正直ちょっと胡散臭い感じもしますけど

たまたま書店で見かけた『世界の経営学者はいま何を考えているのか』を読んだのは、10年ほど前のことだった。 同じ著者が、各種の経営理論を幅広く紹介するあの本を、質量ともにパワーアップして今度は『世界標準の経営理論』として出していた、らしい(数年…

働いてるひともおりまっせ

昨年の暮れにちょこっと読み始めて、正月に一気読みした『プラナリア』。プラナリア (文春文庫)作者:山本 文緒文藝春秋Amazon社会不適合者一歩手前な感じだったり、どこかで踏み外した挙句にどうしようもないほどに拗らせていたり。揃いも揃ってどうなっとる…

おっさんてのはよ

『持続可能な魂の利用』が文庫になっている。持続可能な魂の利用 (中公文庫)作者:松田青子中央公論新社Amazon修復不能なレベルまで少子化が進み、破綻した日本は、おっさんのいない世界になっている。そんな未来から、おっさん地獄を振り返るかたちで語られ…

油脂はやっぱり快楽なのだな

お、土井せんせの新刊が出るやんけ、と少し前から手ぐすね引いて待っていた。 今度は『味つけはせんでええんです』ときたもんだ。味つけはせんでええんです作者:土井善晴ミシマ社Amazon帯に「土井節炸裂」とある。たしかに、炸裂しとるな。 漫然と読んでいる…

アカンのはわかってるんですけど

『汚れた手をそこで拭かない』。何やらけったいなタイトルだな、と思いつつ読んでみると、もうどれもこれも、地味に嫌な感じの物語ばかり。汚れた手をそこで拭かない (文春文庫)作者:芦沢 央文藝春秋Amazonミステリー、というほど大層な話ではない。だいたい…

一杯だけで済んだためしが無いでしょうが

書店の新刊コーナーで『もう一杯だけ飲んで帰ろう。』という本を見つけた。 タイトルだけでやられてしまい、レジに直行した。もう一杯だけ飲んで帰ろう。(新潮文庫)作者:角田光代,河野丈洋新潮社Amazon角田光代さん、知ってます。『紙の月』を読んだ。 河…

万物に宿るトム・ハンクス

なんと。『なんらかの事情』を読んでから、もう10年も経っていたのか。 新作の『ひみつのしつもん』が出たのは知っていた。 けれども文庫になるのを待っていたのだ。 文庫になると、ボーナストラックが追加されるから。 そしていよいよ、満を持して、という…

おっちゃんに曰と日の区別はつかんよね

子曰く、云々かんぬん。というのをどこかで読んだり聞いたりしたことがない人はあまりいないだろう。 そう、『論語』である。むかし中国に孔子という偉い人がいて、その人がいろいろと良いことを言っていたので、それをまとめた書物、ということになっている…

甘いけど冷たいなんて上手いこと言うよね

スガシカオの「ぬれた靴」という曲がある。こんな歌詞だ。 なれないスーツと ひどいドシャ降りで なんだか疲れきってしまった式の帰り道で 誰かがいい出して うすぐらい中華屋にはいった 『ばにらさま』の最後に収録されている「子供おばさん」を読んでいた…

よそ行きゴッチもええんでないの

隔週の水曜日の朝日新聞で、ゴッチが『朝からロック』というタイトルの短い文章を書いている。 これが毎週だったら、たぶんもうちょっとちゃんと読むのだけど、隔週だとけっこう忘れてしまうのだよな。だから読み損ねた回がたくさんある。 でも、きっとその…

思い込みは大事ってことよ

これはわたくしの偏見なのかもしれないけど、脳科学者なんてのを名乗っている手合いにはちょいちょい胡散臭いのがいるから要注意だと思っている。特に最近あのもじゃもじゃの人なんかはだいぶヤバい感じだし。 で、このところたくさんの著作を出しているのを…

オレンジチキンで倍返し

米国駐在中に、時々Panda Expressの中華をテイクアウトして食べた。 ピリ辛なんだか甘酸っぱいんだかよくわからないオレンジチキンはビールによく合って、なかなか美味かった。でも、味がやたら濃い。食べ過ぎたら味覚がバカになりそうな気がした。 「半沢直…

そういわれると結構ふしぎかもね

『神々と男たち』という映画があった。アルジェリアの山間の村でつつましく暮らすカトリック系の修道士たちが、イスラム過激派の武装集団に誘拐される、という、実際にあった事件をもとにしたストーリーだ。 あの中で、キリスト教もイスラム教もルーツは一緒…

育ってきた環境が違うから

伊坂幸太郎の『オー!ファーザー』という小説があるのは知っていたが、そのタイトルの由来はマドンナの"Oh Father"という曲だとは知らなかった。というかそもそもそんな曲があること自体を知らなかった。この曲のテーマというのが児童虐待とそれによるトラウ…

でもコオロギは食べたくない

何事も、自分が当事者になり、実際に体験してみて初めてわかること、というのはあるもので。 いろんなことを実際に現場へ行って、片っ端から体験してみましょう、というのが『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』という本のコンセプトの…

Does this make sense?

だいぶ前に『むかつく二人』を読んだら、めっぽう面白かった。 その時点で続編も出ているのがわかっていたので、読んでみようと思っていたのに、気づけばそれからもう8年近く経っている。 というわけで、何で思い出したのかは良くわからんが、とにかく続編の…

鞍馬から牛若丸が出でまして名も九郎判官

昨年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は毎回楽しみに観ており、関連する小説の『炎環』や『北条政子』なども読んでみたりした。いずれも大変面白かった。 それらのドラマや小説には、源九郎判官義経が登場するのだが、だいたい「高い戦闘能力を持つけど落ち着き…