野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

ロックスターは信用できない

今までにマルクス・ガブリエルの著作(アンソロジーやインタビューも含む)を何冊か読んだ。
所々で、ちょっと面白いなと思う考え方や指摘はありながらも、全体的にどうもすっきりしない思いを抱えつつ今回も『つながり過ぎた世界の先に』を読んでみた。全編Zoomで日本とドイツをつなげて行われたガブリエルへのインタビューで構成されている。今やこれで一冊できてしまう世の中だ。えらい事ですな。

新型コロナの前に世界においては、人と人、国と国、そして経済活動など様々な次元で「つながり過ぎ」ていた。それらはこの先どこに行くのか、てな話は昨今あちこちで取り上げられ、もはや一つの市場を成しているんではないかという気もする。
ガブリエルの話についての感想はといえば、まあ今までとそう変わらない。相変わらず釈然としない思いを持ったままだ。
一年ほど前のインタビューをもとに構成された本なので、新型コロナと各国での対応に対するガブリエルの見解などについては、あんた今でも同じことを言えるのかい、と問い糺してみたいような内容だったりもする。
トランプ大統領のブルシットぶりを認めながらそれでも、その政策は米国にとって良いことだった、って本気で言ってるのだろうか?後半に語られる倫理資本主義の観点に照らしてもなお、その主張は成り立つのか?そのあたりの理屈は、残念ながらわたくしの粗末なアタマでは到底理解が及ばなかった。
こうしてマルクス・ガブリエルに対する不信感は募っていくばかり。でもまた別の本も読んでしまいそうな気もするな。