先日『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を読んだせいか、Kindleが『ジャック・イジドアの告白』をオススメしてきた。
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』に登場するジョン・R・イジドア、あるいは映画『ブレードランナー』のJ・F・セバスチャンは、独特の存在感を持ったキャラクターであるが、いずれの作品においてもそのバックグラウンドについて多くが語られることはない。
しかるにこの本は、『電気羊』の前日譚であり、イジドアが「特殊者」(スペシャル)のピンボケとなるに至った経緯などが明らかにされる、イジドア・ライジング的な物語なのか?!
と思って読んでみた。
イジドアはピンボケ以前にずいぶんエキセントリックで頭のネジが2、3本緩んでいるし、フェイはさらに輪をかけてイカれた人格破綻者ときている。その夫といえば粗暴なクズ野郎だし、ナット(ネイサン)なんていう若者はマトモなのかと思っていたらやっぱり道を踏み外す。いやそれはフェイにさんざん振り回された挙句の話で、つまりすべてはフェイのせい。
と言いたいところだが、まあやっぱりイジドアも相当アタマおかしいわな。怪しげなカルトに入れ込んだりしてるし。そういえば『電気羊』のマーサー強もかなりカルト臭がキツかった。
不快さと面白さが入り混じった不思議なストーリーで、何じゃこりゃぁ、と叫びつつわしわしと読み進める。そして最後に、ああ結局『電気羊』と直接には関係の無い話だったのだなと気付く。何だかもうワケわかりません。