ジョン・コルトレーンのヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ盤に「Softly as in a Morning Sunrise」が入っている。この曲の長さは6分を超えるが、前半は延々ピアノの演奏が続き、コルトレーンのサックスが入ってくるのは3分以上経過してからだ。「少将滋幹の母」を読んで思い出した。
滋幹の出番が少ない。後半にならないと出てこない。あそうか、母が主役だからか。「天才バカボン」の主役はバカボンのパパだし、天才なのはハジメちゃんなのだ。これでいいのだ。
- 作者: 谷崎潤一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1953/10/09
- メディア: 文庫
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源氏物語(宇治十帖はまだだけど)と陰陽師を読んでおいてよかった。話がすんなりと入ってくる。オリジナルは「今昔物語」やら「宇治拾遺物語」やら「十訓抄」らしい。そのあたりからとってきた話をつなぎ合わせている。それにしても、源氏物語を読んだときも思ったのだが、どうにも無茶な連中ばっかりだ。衆人環視の中で人妻(それも伯父の)を強奪する左大臣・藤原時平。懸想する侍従のおまるをパクってくる「色好みの平中」。そういうのを最近はストーカーっていうんだぜ。
それでも最後は「母を恋ふる記」の発展形という感じで美しくまとめている。さすがです谷崎センセイ。