野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

万葉集と野生の思考

「時間の比較社会学」という本を読んだ。

時間の比較社会学 (岩波現代文庫)

時間の比較社会学 (岩波現代文庫)


近代以降の人間が持つ「死の恐怖」と「生の虚無」の感覚について考え、そして原始共同体から古代日本、そして近代社会における時間意識について論じる。とまあ、ちょっと書いただけでもなんだか難しそうな本だが、やっぱり難解を極めた。
第2章「古代日本の時間意識」、第3章「時間意識の4つの形態」、第4章「近代社会の時間意識 - (I)」、このあたりは、何が書いてあるのかさっぱり理解できなかった。
面白いテーマなのだ。それはわかる。
だけど残念ながら内容を理解するのに頭がついて行かない。
それでもまだ第1章「原始共同体の時間意識」は少しは理解できた。アフリカのとある部族の社会では、2年以上先の未来についての概念が存在しない、なんていう話はちょっと衝撃的だった。そもそも彼らは独立した概念としての時間というものを持たない。生業の中心となるものを基準にして時間を考える。例えば牛を牧草地に連れて行く時間、搾乳の時間。つまり牛時計だ。
こんな話を、ほうほうと面白がって読んでいたら、第2章では万葉集やら古今和歌集が次から次へと引用され、さらに以降の章ではプルーストやらモンテーニュやらが出てくる始末。情けないことにまったく歯が立たない。
牛時計の話が読みたければ、レヴィ=ストロースでも読んだほうが良かったのかも知れない。もっとも彼の「悲しき熱帯」にも相当手こずったものだが。