先日読んだ「ウェブ時代をゆく」に紹介されていて興味を持ったので、「知的生産の技術」を読んでみた。
- 作者: 梅棹忠夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1969/07/21
- メディア: 新書
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知的生産などというと大層な感じだが、著者によれば「頭をはたらかせて、なにかあたらしいことがら ー 情報 ー を、ひとにわかるかたちで提出すること」と定義している。要するに、世の多くの人々が仕事や勉強において行う諸々の活動の多くを含む、と考えて良いだろう。
メモの取り方、カードの利用法など、日々入手する情報の整理と活用のしかた、そしてそれらをもとして効率よく、快適に質の高いアウトプットを得られるための技術として、著者自らの試行錯誤の結果(と経過)を紹介されている。
発行は1969年だから、もちろんとてつもなく古い。当然ながら、これらの情報処理に関わる環境は当時からすると激変している。だから、この本に書かれていることをそのまま実行するのはあまり意味がない、というより色々と問題がある。たとえば、無理やりタイプライターでひらがなだけの手紙を書いて仕事の相手に送っても、いやがらせをしているか、頭がおかしくなったと思われるのがおちだろう。
それでも、本質的な部分でこの本に書かれている内容というのは色々と役に立つ、というか現代でも十分に通用するだろう。要するに、日々発見したり気づいたり何かのきっかけで入手した有用な情報はどんどん記録していく、ただしそれらは容易に検索・ソートなどが可能なようにするべきだ、ということなのだ。情報処理技術がかつてないほどに発展した現代において、これを実現するための手段は、様々な選択肢で、しかもきわめて低コストで提供されている。したがって具体的なレベルでの知的生産の「技術」はこの本とは別に、また色々と考えなければならない。