なぜだか忘れたけどAmazonビデオのウォッチリストに入れていた『インサイド・マン』を観た。聞いたことのない映画だ。
銀行強盗が人質をとって立てこもる、てな話なのだけど、爆発もカー
チェイスも銃撃戦も無い。あ、爆発はちょっとあるか。銀行強盗の主犯格にクライブ・
オーウェン、内務調査の対象になっている
ニューヨーク市警の刑事に
デンゼル・ワシントン、そして、鼻持ちならないやり手の弁護士に
ジョディ・フォスターなんていう役者を使っておきながら、まことに地味な映画。そして、なんだかすごく頭を使う。銀行強盗および立てこもり事件そのものは、結局何も取られず死傷者もゼロ、ということで解決した、ということになるのだけど、いやそれはちょっとおかしいでしょう、と。そう、何かがおかしいのだ。犯人の目的は?犯人はどうなった?犯人グループは人質たちに自分らが着ていたのと同じジャンプスーツを着せて、人質を解放するどさくさに紛れて出て行った。誰が犯人グループのメンバーなのかわからず、人質たちを一人ずつ尋問していくのだけど結局わからない。
嘉門達夫の『この中に一人』を思い出した。あ、銀行強盗は4人だけど。
この映画、一回観ただけでは理解できないのだ。いやひょっとすると、何回観ても完全には理解できないのかもしれない。あちこちに伏線が仕込まれている。伏線だらけだ。なんとなく引っかかるな、というものからまったく気付かないものまで。そして、自分の理解というか解釈は、次から次にさりげなく裏切られ続ける。だから脳の負荷がかなり高い。実によくできた映画だが、酒飲みながらダラダラ観るのには、実はあまり向いてないな。