2001年に「黄金の灰」でデビューした柳広司は、その後も年1冊以上のペースで作品を書き続けていった。
そして先頃ついに、創元推理文庫で彼の作品が次々とリリースされ始めた。
3月に発売された、同文庫での彼の4作目「百万のマルコ (創元推理文庫)」は、「小説すばる」に連載されていた連作で、単行本化されるのは、この文庫が初めてだ。
- 作者: 柳広司
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/03
- メディア: 文庫
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ということで、前から気になっていたのに手をつけてなかったのを、やっと読んだ。
この本では、珍しいことに誰も死なない。
捕虜として牢獄に入れられているマルコが他の囚人に語るホラ話の謎を解く、というのがこの連作での毎度お決まりのパターンだ。
この小説に出てくる物語作家ルスティケロというのが、あの「東方見聞録」の作者であり実在の人物である、というのは後で調べて初めて知った。話の大枠というか、全体の設定みたいなものは基本的に史実に基づいている。個別のホラ話とそこに仕込まれた謎解きが、作者のオリジナルだ。
いわゆるミステリーというのとはちょっと違う。一歩まちがうと一休さんだが、あまり安モンにならないようにひとヒネリしてあり、なかなか面白い。
というわけで一気に読み切ってしまった。
これとは別に、すでに新作も出ているようだが、そちらはまたボチボチと。