「ヤクザと原発」とはまた、すごい組み合わせですな。
- 作者: 鈴木智彦
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/06/10
- メディア: 文庫
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なんで?と思うが、実はヤクザにとって「原発はどでかいシノギ」で、それは儲かるらしい。別に原発に限った話ではなく、ダムや高速道路も同じで、「街を代表して電力会社と交渉し、ゼネコンと話付けて、地元の土建屋に仕事を振る。それだけじゃとても人手が足りんから、あとはよその場所にいる兄弟分なんかに話を振ったり、普段から仲のいい組長連中の会社を使う。どでかいシノギになるから、代紋なしではとても捌ききれんし、工事だって進まない」(p.10)のだそうだ。なるほどねぇ。
で、原発関係の仕事というのは、電力会社やプラントメーカーの下請け、孫請け、ひ孫請け…と連なって行き、6次とか7次あたりで暴力団のフロント企業が登場したりするらしい。日雇い労働者の手配なんていうのも暴力団の仕事なわけだが、あの事故後の福島第一原発(「1F」と呼ぶらしい)での作業員も集めていたようだ。
通常の報道などでは知らされることのない、各種のヤバい話が満載なわけだが、それにしてもなんでわざわざ1Fに、と思う。「暴力団と1Fは“誰もが嫌がる危険な取材先”という共通点を持っており、ならば向いているだろう、と思った」(p.49)って、そんな理由で行くのかこの人は?しかも、血圧が高すぎてこのままでは作業員になれない、と医者に言われたので食事制限と運動をし、規則正しい生活を送って見事に正常値にした、という。いったい何が彼をそこまでさせるのか?まことに不可解である。