野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

だてに40年も落武者やってないってわけさ

なぜだか知らないけど無性に山下達郎が聴きたくなる、という原因不明の難病に3年近く前に罹患したが、古いアルバムを投与することにより症状は沈静化していた。ところがこの年末以来、また発症してしまったようだ。おそらく、近所の酒屋で買い物をしたときに店内に流れていたラジオでたまたま彼の曲がかかっていたのを聞いてしまったのがきっかけであろう。いや、実はあれは知らない曲で、本当に山下達郎だったのかどうかも定かではないのだが、この際そんなことはどうでも良い。あのちょっと鼻にかかったような裏声がのべつまくなしに脳内で鳴っているようでは日常生活に差し支える。
ということで何か適当なアルバムを投与するため、正月休みの終わりに、タワレコへ行った。
いくつかの古い名盤がわりとお買い得になっているのだが、今回はなんとなく、少し新しめのところで「SONORITE」を選んでみた。

SONORITE(初回限定盤)

SONORITE(初回限定盤)


1曲めが「MIDAS TOUCH」だ。Fried Prideのカバーで初めて聴いた曲だが、オリジナルも良いのだ。ところで4曲めの「忘れないで」という曲には驚いた。実に昭和テイストというか、ほとんど演歌?というぐらいに湿度の高いマイナー調のメロディとベタっとしたアレンジ。こ、これをあのタツロー・ヤマシタが?!という衝撃を受けながらも、つい聴き入ってしまう。
そういったものを含みながらも、全体にゴージャスでポップでアーバンで。わたくし本来はこういうのって、あまり好みではないのだ、正直なところ。緻密に作り込まれた隙のない音よりも、もっとスカスカでざらざらしていて土臭くて、でも勢いだけはあって、みたいなのが好きなのだけど。でもこういう、完成度の高い名人芸みたいなものにはやはり、抗い難い魅力というのを感じずにはいられない。
恐るべし山下達郎。こうなれば仕方がない。マントラを唱えるが如く、とにかく飽きるまでヘビーローテーション。それがいまのところ考えうる最良の治療方法だ。