野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

腕の長いチンピラ登場

三国志 第三巻』。

三国志〈第3巻〉 (文春文庫)

三国志〈第3巻〉 (文春文庫)

霊帝崩御した。その後のゴタゴタの中で大将軍の何進、そして袁紹袁術、といったあたりが宦官の大殺戮を行った。朝廷から宦官が粛清されたのは良いが、そのドサクサに紛れて今度は董卓が大将軍になり、またやりたい放題。これ、梁冀の時と一緒ちゃうんか…
まったく、何度同じ話を繰り返せば気がすむのか。で今度は「董卓討つべし」で張邈、袁紹袁術あたりが挙兵する。曹操はこのうち酸棗にいる張邈の軍に合流するわけだが、駐屯地で酒ばかり飲んでいる連中を見て、お前らやる気あんのか?と呆れる。反董卓、ということで挙兵はしたものの、袁紹袁術もグダグダ、というか袁家のなかで仲間割れという状態で、いったいどうするつもりだ?
ところで劉備について。この第3巻においても、多少の記述がある。五斗米道の賊軍を討伐する軍に随行したが負傷し、死んだふりをして、賊軍が去ってから脱出した。後に安喜県の尉に任命されたが督郵(内務調査官みたいなもんか)が来た時にそいつを縛り上げて杖で200回叩いて逃げ出した。と書かれている。ひどい話だなオイ。それからどうなった、と思うと、公孫瓚のもとに、腕の長い、耳の大きな男が、風体のよくないふたりを従えてやって来た、とある。これが劉備玄徳だ。その公孫瓚劉備をどう見ていたかというと、"いかがわしい連類とつきあって侠客をきどっている"(p.100)と、散々な言われようだ。宮城谷氏は、どうも劉備に対しては冷淡だ。上記の、劉備が従えている「風体のよくないふたり」というのはすなわち関羽張飛のことだ。いつのまにかこの二人が劉備と行動を共にしている。その経緯についてはほとんど説明はない。それで良いのか、劉備関羽張飛の三人が義兄弟の契りを交わす、いわゆるところの「桃園の誓い」はどうなったのだ!と全国150万(知らんけど)のサンゴクシシャンから抗議が殺到するんじゃないのかと心配してしまうが、実はこの「桃園の誓い」というやつ、三国志正史にはないらしい。宮城谷三国志はとにかく、史実に基づいて話を進めているので、そんな作り話なんぞ必要ない、というわけだ。うーむ、なんてストイックなんだ。
さて、グダグダ袁紹にヘタレの袁術、そして口先番長の張邈による反董卓連合軍、どうなりますことやら。