一般的に、哲学というのは難解なものだ。しかし、その難解さは不当である、「誰もが抱えているような疑問を、誰も近寄り難いようなかたちに置き換えて、暇と根気のある人間しか入れないような”国”に仕立てている」、竹田青嗣という人は、そのように感じたのだそうだ。そして彼は、「いつかこの“国”の王様を裸だといって笑ってやりたい」という気持ちから、我々のようなフツーの人々にもわかるように、哲学を解説する本を書いてくれている。そのうちの一冊が、この「現代思想の冒険」だ。
- 作者: 竹田青嗣
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1992/06
- メディア: 文庫
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とは言っても、やっぱり難しい。250ページに満たない文庫本を読むのに、まるまる一週間を費やしてしまった。最初のほう、マルクス主義の崩壊というようなあたりから始まり、ソシュールからレヴィ=ストロース、バルトとか、構造主義の話になり、それからニーチェに戻って、ていうところまでは割と調子良かった。でも、デリダとドゥルーズが出てきたらもうアカンなあ。やっぱりこいつらの言ってることはワケわからん。
でも、すごく丁寧に、わかりやすく書いてくれていると思う。「わかりやすく」といっても、かなり集中してじっくり読まないと、なかなか理解できないけど。実際、はっきり言ってあんまり良く理解できてない。たぶん何度も読み直さないとわからないと思う。逆に言えば、何度も繰り返してじっくり読んだら理解できそうな気がする、ってことだ。これはすごいぞ。
タイトルに現代思想と入っているが、それだけではなくて、デカルトもカントもヘーゲルもフッサールもニーチェもキルケゴールも、バタイユまでも出てくる。だけど単に、西洋哲学史を解説しました、てな本ではない。彼らの思想を著者の翻案により紹介しながら、近代思想から現代思想への流れにおける主題の変遷、みたいなものを解説し、そしてそこにきっちり著者自身の思想を説明している。これはなかなか面白い。何を言ってるのかよくわからんけどね。