この1〜2週間ほどずっと、頭の中でピンクフロイドの"Shine on you crazy diamond"とベートーヴェンのピアノソナタが交代で鳴りまくっている。どうしてくれる。
特にベートーヴェンについては、グールドとケンプの聴き比べをしてからというもの、「正統派によるベートーヴェンの演奏ってどんなんだろう?」という疑問をずっと持っていて、気になって仕方がない。ということで、正統派っぽい(?)アシュケナージのCDを買ってみた。
- アーティスト: L.V. Beethoven
- 出版社/メーカー: Decca
- 発売日: 2012/03/13
- メディア: CD
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いやまあ、正統派というより、実は790円という値段に釣られたところが大きいのだけども。
まあ聴いてみて驚きましたね。無茶苦茶しとるな、アシュケナージ。グールドと曲目はまったく同じだけど順番が違っていて、最初が「月光」なのだけど。なーんか音量小さめ?と思っていたら、突然に叩きつけるような爆音が。そっから先はもう激しいのなんの。バイオレントなまでに弾きまくる。もともと仰々しい演奏をするアシュケナージだが、こりゃちょっと尋常じゃない。これを聴いてしまうと、グールドの演奏がものすごく禁欲的に聴こえてくる。
これって「正統派」なんだろうか?違うよなあ、多分。いや別にどっちでも良いけどさ。やっぱり正統派のベートーヴェンってちょっと退屈なんじゃないかなという気がするのだ。だからグールドもアシュケナージも、ちょっと変な(グールドもアシュケナージもごめん)演奏をしてみてるんじゃないのか。知らんけど。
グールドは別に変だとは思わなかったのだけど、アシュケナージの場合はなんだか、「退屈なベートーヴェンも俺様の演奏ならこんなにエキサイティング!」っていうドヤ顔が透けて見えるようで、ちょっと鼻に付くところがある。けれども、そうやって苦笑いしながらも聴き込むとやっぱり、結構エキサイトしてきますわな。
というわけで、わりと嫌いじゃないです。こういうの。音量がデカすぎて(ダイナミックレンジが広すぎる、というべきか)iPhoneで聴くと音が割れるのだけはちょっと難儀だけど。