野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

町内の正義の話をしよう

「三匹のおっさん」というタイトルだけで、おおっ?と思っていた。あの「阪急電車」の有川浩さんではないですか。

三匹のおっさん (文春文庫)

三匹のおっさん (文春文庫)


還暦を迎えたのだけど、ジジイであることは認めたくない三人の「おっさん」(もと町内の悪ガキども)がひそかに自警団を結成し、ご近所の悪を斬る、というまさに勧善懲悪の「痛快活劇」である。
話型としてはわりとシンプルだけど、これも「阪急電車」と同様にやはり重要なのはディセンシーであり、三匹の価値観や行動原理はコミュニタリアニズムだと思う。共同体を邪悪なものから守るのが大人の役割であり、それはまさに「ご近所限定の正義の味方」という言葉で表されている気がする。この「ご近所限定」っていうのが良いのだ。これぞまさに「小商い」的発想なんじゃないか。
まあ小難しい理屈はどうでもよろしい。ちょうど続編が文庫になったところだ。とにかく面白かったから、次も読む。