野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

感動の最終解

イノベーションの最終解」とはまた大きく出たなオイ、と思いながら読み始めたのは、もう昨年のことだったように思う。ずいぶん時間がかかってしまった。

イノベーションの最終解

イノベーションの最終解

確固たる市場シェアを築き、優れた技術を持つ大企業が、なぜ相対的に劣った性能の製品やサービスで参入してくる新興企業に敗れ、撤退していく羽目になるのか。ご存知クリステンセン教授の「イノベーションのジレンマ」だ。続編の「イノベーションへの解」ではその新規に参入する企業が起こすイノベーションによる市場の破壊のパターンを分類し、それぞれの傾向と対策、さらに破壊する側になるための方法論はいかなるものか、という感じで、なかなかエキサイティングな一冊となっていた。
さて、では「イノベーション三部作」の仕上げとなると目される本書ではいったい何が出てくるのか、と期待して読んでみると、特に目新しい話なんてものはなくてがっくりくるわけだ。実は「解」とこの「最終解」が出たタイミングはそんなに変わらない。諸事情により10年も経ってからやっと「ジレンマ」と同じ翔泳社から日本語訳が出た本書の解説によれば、“『イノベーションへの解』が戦術レベルの指南書だとすれば、『イノベーションの最終解』は戦略レベルの「兵法書」であると言ってよいだろう”とのことだ。何だよそういう事は早く言ってくれよと思いながらも、やはり「解」に書いてあったことの記憶や理解もかなりあやふやであることに「最終解」を読むと気付くわけで、まあ言ってみれば記憶をリフレッシュするという意味では、わざわざ読んでみて良かった、ということにしときましょうか。