野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

繭美はドカベン世代なんだな

WOWOWで『バイバイ、ブラックバード』のドラマをやっている。とりあえず録画はしたけど、まだ原作を読んでない。てことで、慌てて読みました。

バイバイ、ブラックバード (双葉文庫)
 

何かをやらかして、<あのバス>に乗せられ、どこか遠いところに連れて行かれることになってしまった星野くん。いなくなってしまう前に、五股をかけていた彼女たちにお別れを言うために一人づつ会いに行く。ただし、謎の金髪巨大女・繭美の監視下で。しかも、彼女らと別れる理由は繭美と結婚するから、と説明しなければならない。<あのバス>って何だよ?とか、五股もかけてた割には律儀だな、とか(いや、律儀だから五股にもなってしまうのか)、そもそも星野くんは何者なんだ、とか、そりゃもう何をどこから突っ込めば良いのかわからないくらいにぶっ飛んだ話だ。
すべて「あれも嘘だったの?」という問いかけから始まる、繭美に帯同された星野くんが元カノたちに別れを告げに訪問する5つの物語。そして、その前に語られる、彼女らと星野くんの出会いというのがまた、揃いも揃って奇天烈だ。そして何と言っても繭美。巨大なだけでなく下品で粗暴。普通の常識人であれば持ち合わせているはずの諸々について、「私の辞書に**は無い」と言い放ち、実際いつも持ち歩いている辞書の、その「**」に該当する項目はすべて、黒く塗りつぶされている。圧倒的な暴力性と理不尽を体現する繭美に、星野くんはただ翻弄されるだけのように見える。ところが彼も単なるへなちょこのように見えて、なかなか油断がならない。絶対的な優位に立っているはずの繭美なのに、なぜか… とまあ、実に面白い。
それではドラマの方も、ぼちぼち観ていきましょうかね。