野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

読書

何の説明も無いし

いわゆるところのハルキストであるわたくしが、では最も好きな作品は何かと問われれば、以前は『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』である、と答えていた。それは後に『海辺のカフカ』に変わったけれども(たいがい昔の話だな)。街とその不確…

長い闘いだった

『差異と反復』を読んでみたいけど、版元で品切れになっている。増刷中らしい。市中在庫に下巻はあるが、肝心の上巻が無い。 しゃあないな、ということで代わりに『アンチ・オイディプス』を読むことにした。アンチ・オイディプス 上 資本主義と分裂症 (河出…

そんなに怒るなよ二郎

お。加門七海せんせいの新作が出ているではないですか。 新聞広告で知って、書店で『蠱囚の檻』を買ってきた。蠱囚の檻 (光文社文庫 か 36-10)作者:加門七海光文社Amazon「特殊な能力を持つ兄妹・悠希と水月に、新宿署の刑事・魚名」のシリーズ2作目、だった…

亀すし閉店とは知りませんでした

日曜日に吹田あたりで昼酒をたしなんでいると、女性の4人組がやってきた。 しばらくすると店の人が、その女性4人客のうちの一人について、この人、この本を出したんです、と店内に貼ってある広告を指して教えてくれた。 『大阪安うま聖地巡礼』という本だ。…

10万円返せ

Twitterだか新聞広告だか忘れたけど、帯に書かれた「なあ、俺と新しくカルト始めない?」のインパクトにやられて『信仰』を買ってしまった。信仰 (文春文庫)作者:村田 沙耶香文藝春秋Amazon薄い本なのに、読み終わるの思ったより時間がかかった。収録された…

当時はあれこれ大変でしたよね

最近読む本に、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに関連するものが多いような気がしていた。考えてみれば、あのあたりを題材にした作品が単行本で出版され、それから文庫化されるタイミングがだいたい今ぐらい、ということなのかもしれない。そんなち…

ブラッド・メルドー聴いてみてます

平野啓一郎作品は、短編も良いけど、やっぱり長編が読み応えあって良いよね、と思って、いよいよ上下巻に分かれているボリュームの『決壊』に手を出してみた。決壊(上)(新潮文庫)作者:平野 啓一郎新潮社Amazon決壊(下)(新潮文庫)作者:平野 啓一郎新…

何で傘?

最近ではいわゆる「街の本屋」というのがどんどんと消えていっている。うちの近所でも、二つの最寄駅近くにある田村書店がいずれも閉店してしまった(田村書店はチェーン店だけども)。 これが世の趨勢というもので、致し方ない事なのかもしれないが、何とか…

携帯電話も無い時代の話ですから

数か月前からWOWOWで『ジャッカルの日』のドラマをやっている。原作は古い小説だ。30年ほど前に読んだ。今は上下巻に分かれているようだが、うちにあるのは一冊にまとまっている角川文庫だ。ジャッカルの日 上 (角川文庫)作者:フレデリック・フォーサイス,篠…

これからは団地がアツいのかもしれない

これもTwitterで一部を見て、なんだか気になって読んだ『偶偶放浪記』。偶偶放浪記作者:小指白水社Amazon先日読んだ『死ぬまでに行きたい海』にちょっと似たところがある。別に観光地でも何でもない、でもちょっと変わった場所だったり、寂れた場所だったり…

千葉will be back

書店に行ったら、文庫の新刊で伊坂幸太郎の小説が3冊も出ていた。 うち、死神のなんちゃら、が2冊。たぶんシリーズなのだろう。順番として先、と思われる『死神の精度』の方を買った。死神の精度 (文春文庫)作者:伊坂 幸太郎文藝春秋Amazon新刊、といっても…

2024年の春に購入されたそうです

『お墓、どうしてます?』って、どうするも何も、普通にありますけど。 などとわたくしなどは思ってしまうのだが、北大路ケメ子先生のお宅の場合は墓を買うところから始めなければならない、という事情があったのだな。ケメ子先生のお父様が急逝されてから一…

何の役にも立たんことって面白いよね

COVID-19、いわゆる新型コロナって、WHOは「緊急事態宣言」終了を発表したけど、”今後も警戒を”とか言って、いまだに終息宣言はしてないよな、そういえば。もう5年以上経つのにな。 と、『目的への抵抗』を読みながら思い出した。目的への抵抗―シリーズ哲学…

まさに烏滸の沙汰でありますね

書店へ行き、ちょいと町田康の小説でも読もうかな、と思う。 古い『どつぼ超然』が面白そうだ。一方で、最近文庫化されたと思われる『外道の細道』も気になる。さてどっちにしよう。 と、しばし考えた挙句に、「最高にくだらなく、オフビートな実録ロード小…

やっぱり助詞の使い方って難しいよね

最近よく書店で『悪文の構造』という文庫本が平積みになっているのを見かける。 なんとなく興味を引かれ、手に取ってパラパラと読んでは戻す、ということを繰り返していたのだが、今回ついに購入に至った。悪文の構造 ――機能的な文章とは (ちくま学芸文庫)作…

KRPは市街地にあるのに

何年か前に出て、ちょっと気になっていた『死ぬまでに行きたい海』が文庫化されたので、早速買い求めて読んだ。死ぬまでに行きたい海 (新潮文庫 き 52-1)作者:岸本 佐知子新潮社Amazon「何年か前」って、もう5年も前じゃないか。月日の経つのは早いものだ。 …

立ち現れ、とか言われてもなぁ

東京では昨年の暮れから「音を視る 時を聴く」という展覧会をやっている。 www.mot-art-museum.jp 非常に興味はあるのだが、東京ではちょっとな。と思っているところに、書店で『音を視る、時を聴く[哲学講義]』などという本を見つけた。「追悼 坂本龍一」…

確かにやたら機械っていうんだけども

先日久しぶりにドゥルーズを読んで、けれども(予想通り)さっぱり理解できず、にもかかわらず今度は『アンチ・オイディプス』か『千のプラトー』を読もうとしている。 しかし、丸腰ではさすがに心許ないので、事前に何かちょっとした解説でも読んでおこう、…

FIERCEとかPERMAとか

仕事で打ち合わせ中に、なぜか『柔軟なリーダーシップFLEX』という本の話題になった(正確には、「最近読んだあの本、何だったかな“権威と協調“みたいなタイトル」、という流れでググった)。で、たどり着いたAmazonのページを見たら、なぜか¥2,479円 のKin…

やっぱり大火傷しました

『暇と退屈の倫理学』を読んだら、やはりどうしてもドゥルーズが気になる。火傷を覚悟の上で、ドゥルーズ+ガタリの『哲学とは何か』を読んでみた。哲学とは何か (河出文庫)作者:G・ドゥルーズ,F・ガタリ河出書房新社Amazon本当は『千のプラトー』とか『差異…

メンヘラ弁慶が大活躍

『ギケイキ』を読んでしばらく経つ。そろそろ『ギケイキ② 奈落への飛翔』を読む頃合いであろう。ギケイキ2 奈落への飛翔 (河出文庫)作者:町田康河出書房新社Amazon「顔のでかい兄」頼朝と再会するあたりから話は始まる。いや、顔のでかさは話に関係ないだろ…

福袋でお腹いっぱいですわ

『村上春樹 雑文集』などというのを書店で見かけ、帯には”お正月の「福袋」を開けるみたいな感じでこの本を読んでいただければ」などと書いてあるので、おおっ、と思って昨年末に買い求め、年明けからちびちび読んでいた。 しかしこの本、実はずいぶん前、単…

次はまた長いやつにしようかな

平野啓一郎作品は『ある男』『本心』『マチネの終わりに』と最近の長編3作を読み、さらにデビュー作の『日蝕・一月物語』を読んで、さて次は何を、というところで、今度は短編を読んでみることにした。 『透明な迷宮』という短編集。透明な迷宮(新潮文庫)…

東京行ったら泊まってみようか

なんだかインパクトのあるタイトルが気になっていた『世界マヌケ反乱の手引書』、実はそんなに新しい本ではなく、単行本では2016年に出ていたらしい。それが今回「増補版」として文庫化された、ということか。世界マヌケ反乱の手引書 増補版 ――ふざけた場所…

いずれフミコの話も

水色と黄色の派手な表紙の本に呼ばれた。 書店で『両手にトカレフ』の文庫を見つけて買ってきた。両手にトカレフ (ポプラ文庫)作者:ブレイディみかこポプラ社Amazonこれはフィクションである。『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』には登場しない…

感染症にチューイして

先日読んだ『暇と退屈の倫理学』はかなり読み応えがあったのだけど、いろいろと興味深い話があった中のひとつが、ダニの環世界だ。 マダニには目がない。マダニが知覚できるのは、酪酸の匂いと、哺乳類の体毛の感触および体温のみである。したがってマダニの…

どこかでお会いしましたか?

古本屋で『春秋名臣列伝』を見つけて購入した。春秋名臣列伝 (文春文庫)作者:宮城谷 昌光文藝春秋Amazonちょっと前に読んだ『三国志名臣列伝 魏篇』と同様の「名臣列伝」シリーズの、おそらく一番古いものではなかろうか。時代も春秋であるから、当然ながら…

しらすは常備するべきですか

『家飲み大全』、第2弾?おつまみ編?てことは当然、第1弾があったってこと?家飲み大全 おつまみ編 (だいわ文庫)作者:太田和彦大和書房Amazonでも第1弾を読んだ記憶が無い。まったく無い。過去に読んだ本の内容をまったく覚えていない、というのは日常茶飯…

それってエントロピーで合ってるの?

先日、実家の片付けに帰った際に、汽水空港に寄った。 neubauten.hatenablog.com そこで、レヴィ=ストロースの『現代世界と人類学』などという本を見つけた。何だこれ、こんな本聞いたことないぞ、と思って買い求めた。現代世界と人類学: 第三のユマニスム…

そりゃコンフィデンシャルには違いねえ

JR千里丘駅の田村書店が、10月で閉店してしまった。その時に古本の在庫を叩き売りしていた。こんな時は、特にほしい本がなくても、何か買わないと損をしたような気になってしまう。 というわけで『ロータス・コンフィデンシャル』を買った。ロータスコンフィ…