『ギケイキ』を読んでしばらく経つ。そろそろ『ギケイキ② 奈落への飛翔』を読む頃合いであろう。
「顔のでかい兄」頼朝と再会するあたりから話は始まる。いや、顔のでかさは話に関係ないだろうが。まあそれはそれとして、その十数ページ後には、顔のでかい兄の不興を買い、刺客を送り込まれる立場になってしまっている。一ノ谷とか壇ノ浦とかの話は無い。その辺は平家物語でも読んどいて、ということだ。いや実際、『義経記』でもその辺の話はスキップされているらしい。
で、顔のでかい兄から送り込まれた刺客・土佐坊正尊を返り討ちにし、いよいよ立場が悪くなる。しゃーないので朝廷にお願いして頼朝追討の宣旨を出してもらい、船に乗って西国方面へ向かった。
というような話が、おもくそパンクでスラップスティックな感じで語られる。
いやしかし、なんかもうどれもこれも無茶苦茶な話、と思うが、実はこれ結構、中世の人々のメンタリティとか倫理観とか行動原理みたいなものを忠実に(そして現代の我々にわかりやすいように)再現してくれているようだ。すごいな。
そして、ファッションについての描写が異様に細かい。
まず下に着る直垂だけれども、これは光沢のある赤字のファブリックにして、その上から、あえて鎧をつけず、レガースとグローブだけつけて、黒毛の馬に白をシルバーで縁取った鞍を置いて跨った。
とか
インナーは真っ白な直垂。ホワイトをベースにイエローの文様を染め出したレザーでステッチした鎧。兜はあえてかぶらずハットをかぶって、弓も塗ってないホワイトの弓。
というような感じで。
なんだかすごい。さらに続きはあるはずだが、まだ文庫化はされていないようだ。楽しみに待とうではありませんか。