野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

そんな名前つけたらいつまでたっても終わらんのとちがいますか

月日の経つのは早いもの。もう『下町ロケット ガウディ計画』が文庫化されているではないですか。

下町ロケット ガウディ計画 (小学館文庫)

下町ロケット ガウディ計画 (小学館文庫)

「ロケットから人体へ」てことで、佃製作所のバルブ製造技術は、今度は心臓弁膜症の治療用の人工弁を作るわけだが、こういう医療機器がらみの話てのはやはり、厚労省の認可やら何やらのややこしいことになる。そうなるといかにも池井戸作品、という感じのわかりやすい悪人が大活躍するわけでね。まあどなた様も徹底的に傲慢だったり狡猾だったりして、なんというかやたら味付けの濃い料理を食べているような気分にさせられるが、でも面白いのよねやっぱり。
たしか半沢シリーズを読んだ(あるいはドラマを観た)時にも思ったのだけど、今の世の中には、薄汚いことや卑劣なことをして甘い汁を吸いながらのうのうと生きている連中があまりにも多すぎる。だからこそ、こういう“Honesty pays in the long run‘という感じの物語が受けるのだろう。競合会社のデータ偽装が発覚した時に、佃はこう言っている。

「とんでもない騒ぎになるだろうし、場合によっては会社が倒産するかもしれない。だけどな、過ちに気づいたところでスジを通さない奴は、絶対に生き残れない。姑息な了見が通るほど、世の中ってのは甘くないんだよ」(p.385)

そういうことだ。姑息な了見が通るほど、世の中ってのは甘くないんだよ。バカがでかい顔するんじゃない。わかったかお前ら。